その日、学校から帰ると、俊征が家まで来ていた。

 探偵まがいの事をして…

 家まで調べるなんて…

 俊征は殺意を覚える。

 靖には俊征が悪魔のように思えた。

「永友君、聞いてくれ、このままでは君は死ぬ」

 俊征は心配そうに言う。

「うるさい!どっか行け!」

 靖は邪険にする。

「聞いてくれ。自分達はずっと君にだけつく訳にはいかない…。だから、女の子の名前を聞かないで欲しい…。名前を聞いた時、君は死ぬ。だから…」

 世迷い言を…。

 俊征を追い払おうとした時、ちょうど家に帰って来た母親が彼を代わりに追い払ってくれた。

「何なの?あの人?」

 当然と言えば当然の反応だった。

 誰でも、自分の息子が死ぬとか話している男を怪しいと思うのは…。

 俊征は警察を呼ばれそうになったため、退散した。

 去り際に、

「決して名前を聞いてはいけないよ。時が来るまで待つんだ!そうすれば、君は助かる…」

 という言葉を残して…

 人の恋路を邪魔する奴は馬に蹴られて死んでしまえ!

 靖は心の中でそう吐き捨てた。

Pan04sashi02


 翌日、気持ちを切り替えて、ポニーテールの女の子に名前を聞く。

 彼女は、ニタァ…と笑い、こう答える。

「私の名前はパンドラ…あなたを殺しに来ました…」
「え?…今なんて…?」

 靖の人生はそこで終わった。

 明日への希望も、昨日の後悔も何もない世界へと旅だってしまった…

 残念ながら俊征の救いの手は彼には届かなかった。

 永友 靖は11人目の行方不明者となった…。

 また、一つ、パンドラの呪いが成就に近づこうとしていた…。

 俊征の言霊もパンドラには届かなかった…。