「最近、永友君、変わったね…」
「そうだね、でもさ、噂だと、暗かった男の子が明るくなるのって失踪の前兆だって言うよ」
「そうそう、謎の女、パンドラが連れ去るってね」
「こわーい!」
「パンドラって名前の女の都市伝説…まだ、あるよ、他にもね…」
クラスの女子が靖の噂を始めた。
まさか、本当に行方不明になるとは思っていないので、みんな面白半分だった。
靖もそんな、女子の噂が聞こえてはいたのだが、無視していた。
自分には彼女が居る…
他の女子なんかどうでもいい…
靖はそう思っていた。
そうして、どんどん、クラスから靖は浮いていった…。
そして、ついに、彼女は同じ駅から乗車してきた。
もう、間違いない…
彼女は自分に気があるんだ…。
そう、思わずには居られなかった。
だが、そんな天国のような気分も招かれざる客の登場で、台無しにされる…。
俊征だった。
靖は頻繁に乗る場所と時間を変えていたため、しばらく鉢合わせせずにすんでいたのだが、ついに、俊征は靖を突き止めた。
「い、居た…、やっと見つけた…」
俊征は安堵の表情を浮かべる。
だが、逆に靖は不機嫌だった。
「放っておいて下さい。…何、つきまとっているんですか…何なんですか、あなた…」
悪意のこもった視線を俊征に向ける。
憎しみさえこもった目だ。
理由は、当然、ポニーテールの女の子が居なくなってしまうからだ。
靖は周りを見渡す…。
ほら、居ない…。
また、彼女は居なくなってしまった…
この人のせいだ…。
靖は俊征をにらみつけた。