「…何なんですか?」

 靖は不機嫌そうに言う…。

「いや、しばらくこの電車で通おうと思っていて…」

 ウソばっかり…

 自分をつけて来たんだ。

 ウザい…

 靖はそう思った。

 俊征は次の日もその次の日も最後の電車に乗り込んで来た。

 そして、靖に話しかける…。

 靖は鬱陶しく思っていた。

 だって、俊征が現れると彼女は消えてしまうのだから…

 俊征の存在が邪魔だ。

 片思いに狂った靖は俊征を追い出してポニーテールの女の子と会う方法を考えた。

 その方法はすぐに思いついた。

 彼女は自分が乗る電車に合わせて乗ってくれる…。

 なら、俊征をまくために、時間と乗る場所を変えてしまえば良いんだ…。

 靖は翌日は、二本、乗る電車を早めた。

 思惑通り、俊征と会わずにすんだ。

 そして、彼女もそれに合わせて、同じ電車に乗ってくれた。

 そして、今までと同じように、靖が降りる一つ前の駅まで、一緒になった。

 一緒に俊征という障害を乗り越えたという連帯感と達成感から、靖に少し勇気が湧いてくる。

 いつか、彼女に告白しよう…。

 まずは名前を聞き出そう…

 そう、思うようになって来た。