満員電車での通学をしている靖だったが、何故か、ポニーテールの女の子は彼が見つけやすい位置にいつも立っていた。
どんなに混んでいても、例え、一本電車に乗り遅れても、間違えて早く電車に乗ってしまっても、病院に行って三時間遅刻して乗っても、不思議と彼の見やすい位置に彼女は立って居た。
そして、彼が降りる一つ手前の駅で彼女は降りていた。
決して、彼の方は見てくれない彼女だったが、毎日顔を合わせる靖は虜になっていった。
(…今日も可愛いなぁ…)
靖は今日もポニーテールの女の子をチラチラと見ていた。
視線を向けたと思ったら、そらし、また、向ける…。
そんなことを繰り返していた。
大抵の女の子なら、普通、気付いても良さそうなわざとらしさがあった。
にも関わらず、彼女は全く彼に視線を返さない。
昨日も、そして、今日も彼女は靖の降りる駅の一つ前で降りて行く…。
(あれ?まただ…)
ある日、靖は首をかしげる事になった。
ポニーテールの女の子が昨日乗ってきた駅の一つ前の駅から乗車して来たからだ…。
3日おきくらいに彼女はそれまでに乗車していた駅の一つ手前の駅から電車に乗ってくる。
最初に見かけた時は、一駅分しか乗っていなかったのに、もう、靖が乗り換えてる駅にまできてしまった。
靖は家から学校まで、3回、電車を乗り換える。
彼女は学校に着く前に最後の乗り換えをする駅で、彼と一緒に電車の到着を待っていたのだ。
(ひょっとして、僕の事を意識している?)
靖はそんな期待をした。
彼女も自分に好意を持っていて…
靖と話すきっかけを探している…
そんなことを思っていた。
冷静な人が見たら、その女の子はおかしい…
そう、気付くはずなのに、靖は気付かなかった…