瑛子が待っていた。
無理矢理忘れようとしていた悪夢が再び舞い戻って来た。
考えて見れば、瑛子が傷を負った時、他の瑛子も同じ傷を作っていた。
一人を装うために…
だけど、それは微妙に違っていて、小さな違和感となって残っていた。
抱いた時もそうだった。
抱き心地が微妙に違っていた。
始めから複数の瑛子を抱いていたのだ。
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
六人の瑛子が出迎える。
遺体になっていた瑛子もいつの間にか甦っていた。
部屋の様々な位置に陣取り、不気味な笑顔を京平に向ける瑛子達…
「お、お前らの名前はパンドラってのか?」
京平は思い切って聞いてみた。
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
同じ返事が六回帰って来る。
それが、気持ち悪かった。
