Pan03sashi03

「お帰りなさい。退院おめでとう…」

 瑛子が待っていた。

 無理矢理忘れようとしていた悪夢が再び舞い戻って来た。

 考えて見れば、瑛子が傷を負った時、他の瑛子も同じ傷を作っていた。

 一人を装うために…

 だけど、それは微妙に違っていて、小さな違和感となって残っていた。

 抱いた時もそうだった。

 抱き心地が微妙に違っていた。

 始めから複数の瑛子を抱いていたのだ。

「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」
「退院おめでとう…」

 六人の瑛子が出迎える。

 遺体になっていた瑛子もいつの間にか甦っていた。

 部屋の様々な位置に陣取り、不気味な笑顔を京平に向ける瑛子達…

「お、お前らの名前はパンドラってのか?」

 京平は思い切って聞いてみた。

「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」
「…そうよ、愛しているわ京平君」

 同じ返事が六回帰って来る。

 それが、気持ち悪かった。