「あームカツク、ムカツク、ムカツクーっ!!」

 京平は部屋中の物に当たり散らしていた。

「…どうしたの?」

 心配そうに瑛子が尋ねる。

「おかしな野郎がかぎ回ってやがんだよ!何がパンドラだ!一人でやってろ、サイコ野郎が!」
「…そう…邪魔ね…その人…」
「あぁ?何言ってんだ、てめぇ?…そういや、てめぇ、夜中に耳元で自分はパンドラとか言ってやがったな、ありゃ、どういう意味だ?」
「…別に何でもないわ…ただのおまじないよ…幸せになれる…」
「はっ、てめぇもまじないか、ムカツクんだよ、このオカルト女が!」

 京平はまた、瑛子を殴りつけた。

 もはや、八つ当たり以外のなにものでもなかった。

 とにかく、面白くなかったのだ。

「じゃあ、また、彼に話しかけるから玲於奈は隠れていて…」
「うん、無理しないでね…」

 京平に話しかけるために玲於奈を隠そうとする俊征。

 彼を助けるためとはいえ、彼の性格の最悪さは俊征も理解していた。

 下手に、玲於奈を近づければ、彼女に手を出してこないとも限らないからだ。

「見ぃーちゃった。可愛い彼女連れてるねぇ、君…」

 最悪だった。

 京平に見られてしまった。

「彼女は関係ない…」
「話聞いてやるからさぁ…その女、抱かせてくんない?」

 京平は嫌らしい笑みを浮かべて、玲於奈をねめ回した。

 玲於奈の全身に悪寒が走る。

 顔が綺麗でも生理的にこの手の輩は受け付けなかった。

「だから、彼女は関係ないと言っている」
「関係ねぇなら良いじゃねぇか…決まり。早くホテル行こうぜ。もちろん、ホテル代はてめぇが持てよ」
「玲於奈、逃げてくれ!」

 彼女の身の危険を感じた俊征は京平の前に立ち塞がり、逃げるように言う。

「玲於奈ちゃんっていうのかぁ…どんな味かなぁ~」
「やめてよ。キモイ」
「嫌がる女を抱くってのも結構気持ち良いんだよね~」
「嫌…」

 走って逃げる玲於奈。

「逃がさないぜ」

 追いかけようとする京平。

「ここは通さない…」

 立ち塞がる俊征。

「てめぇはおよびじゃねぇんだよ」

 京平は俊征に跳び蹴りをかます。

 俊征が吹っ飛ぶ。

「いや…」
「へへへ、待てよぉ~」

 追いかける京平。

 逃げまどう玲於奈。

「彼女は渡さない…」

 京平の足にすがりついて、止めようとする俊征。

「寝てろよ、てめぇは!あの女とは俺が寝てやるからよぉ~」

 倒れている俊征になおも蹴りつける京平。