三十人目くらいには紫織も並んでいた。
俊征は列を飛ばしてハンカチ売りの所までスタスタ歩いて行き、売り子が持っていたハンカチにスポイトから水滴を一滴垂らした。
ジュワアアアァァァァ…
ギィヤアアァァァァァ…
ハンカチが溶ける音とハンカチからの悲鳴が同時に聞こえた。
売り子達がすぅっと消えていく…。
紫織が手にしていたパンドラのハンカチも悲鳴と共に溶けてしまった。
「それは…?」
大輔が質問する。
「キリストの涙…聖水です」
俊征は答える。
今、日本の霊能者達の間では、対パンドラ用のアイテムとして、聖水と聖火が支給されていた。
俊征も従兄弟の榮一郎から聖水を受け取って来ていたのだ。
静かに、霊能者達とパンドラの呪いとの全面戦争が始まろうとしていた。
今日もどこかで、パンドラの呪いは浸透し、それを駆除するために霊能者達が動く。
「憎い…憎い…人の愛が憎いらしい…」
パンドラの人の愛に対する憎しみはまだ、消えない…。
完
