バチン!

「捨てろですって?ふざけるんじゃないわよ」

 大輔は紫織に思いっきり平手打ちを食らった。

 紫織のパンドラのハンカチに対する執着は異常だった。

 毎日使い続けているのなら、もう、とっくに汚れているはずなのにずっと使い続けている。

 紫織は大輔を置いて先に登校してしまった。

 途方に暮れる大輔。

 何か、何かないのか…。

 考えるが何も思い浮かばなかった。

 そんな状態で駅前に通りかかった時、チラシが一枚落ちていた。

 見ると…

 パンドラに関する悩み事相談と書いてあった。

 そうだ、いつか数人の男女が配っていたあれだ…。

 パンドラ…正に、これじゃないか…

 大輔はチラシに書かれていた携帯に電話をかけた。

「なるほど…お話はわかりました…では、早い方が良い…、いつお会いになれます?」
「明日の日曜日なら…」

 電話の先の話相手、松村 俊征と会う約束を取り付けた。

 彼は最後に…

「大丈夫、彼女は助かりますよ」

 と言ってくれた。

 その言葉を聞いた時、憑きものが落ちたかのようにすっとした。

 そして、自然と頬に伝うものがあった。

 涙だった。

 翌日、大輔は俊征と待ち合わせした。

 俊征の横には女の子が寄り添っていた。

 彼の恋人、玲於奈だった。

「恋人…ですか?」

 大輔は俊征に尋ねる。

「あ、ま、その…はい…」

 俊征は照れて答える。

「良いですね…。僕も紫織ちゃんと同じ関係だったんです…でも、今じゃ赤の他人も同然で…」
「なるほど、それで、その紫織さんの今日のご予定ってわかりますか?」
「紫織ちゃんの友達の話だと、パンドラのハンカチがもう一つ手に入るみたいで…」
「まずいな…急ぎましょう。二つ目を手にしたら更に悪化しますよ」
「そんな…こ、こっちです」

 大輔は俊征達をハンカチ売りのいる所まで案内した。