一方、美加は宏明との電話を受けた後、意中の文規に電話した。
「美加ちゃんは宏明とまだ、付き合っているの」
「…一応はね…でも、愛は無いよ。もう、どうでも良いよ、あんなやつ…。ただ、あいつにフラれるのは嫌。絶対、私からフッてやるんだ」
「じゃあ、明日、言われる前に言っちゃえば?私、もう、文規君と付き合ってますって…」
「あはは、そうね、そうしましょうか。私達、今から付き合っちゃおうか」
「へへ、そうする?良いよ僕は!」
「でも、別れてからにしようよ、本当に付き合うのは。私、そういうのはっきりさせておきたいタイプだし…」
「良いよ。待ってる。」
「好きよ」
「僕も」
美加の方も文規との恋愛を楽しむ気満々だった。
だが、またしても…
「認めないよ、そんなの…」
電話から女の声が聞こえた。
「何?文規…そっちに女いるの?」
「え?居ないけど?そっちじゃないの?」
「え?混線してるのかな?」
「それはわかんないな…」
不気味な感じがしたが、文規との会話を楽しむ事にした。
その夜、文規のアパートで火事があり、焼け跡から文規と思われる焼死体が翌朝、発見された。
それぞれに好きな相手が出来て、別れ話をという段階になって、好きな相手がそれぞれ、死亡したという知らせを受け、別れ話どころでは無くなってしまった。
宏明も美加も三年前の父親の死を思い出した。
あの時も二人の恋の邪魔をした父二人が死亡した。
それに今回も、それぞれの浮気相手が死亡した。
それだけじゃない…宏明と美加に近づく相手はみんな不幸にあっていた。
さすがに気味が悪くなる二人。
考えて見れば、二人の恋愛に協力的な人は無事だが、反対していた人は悉く不幸になっている。
二人の周囲の不幸の原因がパンドラのおまじないだと言うことに気付くのにそれほど時間はかからなかった。
宏明と美加は電話で待ち合わせして、その事を相談した。
やはり、どう考えても偶然で片付けるには不自然過ぎる。
パンドラのおまじないが生きているんだと…そう結論づけた。
「何とかならないのかよ…」
「何とかなったら、あんたなんかに相談しないわよ」
「あんなくだらないおまじないなんかするからだよ」
「あんただって乗り気だったじゃないのよ、人のせいにしないでよね」
「お前が先に言い出したんじゃねぇか」
「あんた、だって反対しなかったじゃない」
「あの時は仕方なかったんだよ、お前に嫌われたくなくて…」
「だから、責任をこっちになすりつけないでよ、男のくせに女々しいわね…」
「ふざけんなよ」
「ふざけてないわよ」
やはり、二人が会えば喧嘩ばかりしていた。
「やっぱ、別れよう、相手なんて、関係ない。お前とは居られないわ」
「良いわよ、別れましょう。私だって、あんたといると虫ずが走るわ」
立ち上がって口論になる。
別れるのは決定的のようだ。
その時…
「別れさせない…二人はいつも一緒…」
また、不気味な声がした。
そして、その時、竜巻が起きて近くにあった看板を破壊し、その破片が宏明と美加の身体を串団子のように刺し貫いた。
看板の破片が二人の命を絶った。