それから、美加と宏明は順調に交際を始めた。
まるで、お守りにでも守られているように二人のどちらかに言い寄る異性は事故や病気にかかり、二人の前からいなくなっていった。
そして、交際も三年を過ぎた頃…
二人は倦怠期に入り、交際もマンネリ気味で、それぞれ、別に気になる異性が出来ていた。
二人の愛は冷め始めていた。
「えー、俺は、こっちが良いよ」
「私はあっちだって…」
「何だよ、もう…ちぇっ、…最近、お前と居ても楽しくないんだよね…」
「それは、私も一緒よ、会うと喧嘩ばっかりだし、趣味も全然違うし…」
「お前と居るより、別の誰かといる方が楽しいんだよね…」
「別れるんなら別に良いけど…」
「こっちも異存はないぜ」
「帰る…」
「あぁ、帰れ、帰れ…」
この日も二人は喧嘩して帰ってきた。
宏明には、横溝 佐和(よこみぞ さわ)という気になる女性が…
美加には、高瀬 文規(たかせ ふみのり)という気になる男性がそれぞれいた。
正式には付き合っていないが、お互い気が合うのは何となくわかっていた。
それぞれ、会話しているととても楽しい気持ちになれた。
「佐和ちゃん、俺さ、彼女と別れようと思うんだ。そしたら考えてもらえないかな?」
「えー、どーしよーっかなー…」
「お願いします。俺、もう、美加の事どうとも思ってないんだよね…」
「ほんと?じゃあ、考えてみよっかなー」
「明日にでもそっこーで別れるからさ!」
「いいよ。きっちり別れたら付き合ってあげる」
「ほんと?やったー!」
宏明はもうすでに次の恋愛の事を考えていた。
美加との関係もこれまでにしようと思っていた。
だが…
「…そんなの認めないよ…」
宏明の耳元で空耳のような声が聞こえた。
「佐和ちゃん、何か言った?」
「ううん、何も。どうかしたの?」
「いや、気のせいかな…」
宏明は佐和と別れて帰宅した。
美加に電話して、明日話があると伝えて就寝した。
その夜、佐和は通り魔に刺されて亡くなった。