「あったよー宏明(ひろあき)」
「へぇ…これが、例のお守りか…」
「そ、私と宏明に永遠の愛をもたらしてくれるお守り、【パン】よ」
「ほんとだ、パンみたいだ…」
「もう一つ、この【ドラ】のお札と重ね合わせると【パン】のお札が目の役割をしてドクロみたいに見えるでしょ。これはね、将来、二人の間に生まれる子供の頭って言われているの。これを満月の夜、午前2時に二人の間において眠ればどんな障害も二人を裂くことは出来なくなるの。ステキでしょ?」
「う、うん、おまじないみたいなものかな?」
「私のパパと宏明のパパ、すっごく仲悪いでしょ。だから、私達が付き合うのをいつも反対している」
「しょうがないよ二人はライバルだったんだし…」
「だけど、この【パン】と【ドラ】を合わせれば、ふふふ…」
「…そうだね…ははは…」

 田沢 宏明(たざわ ひろあき)と星野 美加(ほしの みか)のカップルはそれぞれの父親に交際を反対されていた。

「美加、また、あのつまらない男と付き合っているのか!パパは駄目だって言っただろう!」

 美加の父親は宏明との交際を反対した。

 いつもの事だ。

 美加はうんざりする。

「パパ、いい加減にしてよ。私はもう、子供じゃない。好きな人くらい出来るわ」
「まだ、子供じゃないか。それに、パパは恋愛が駄目だって言っているんじゃない、あの男が駄目だって言ってるんだ」
「パパの分からず屋!」
「美加!」

バシッ!

「撲った!」
「聞き分けがないからだ」
「パパなんか大っきらい!死んじゃえ!」
「親に向かって何てこと言うんだ。部屋で反省していなさい!」

 美加は部屋で泣いていた。

 すると、どこからともなく声が聞こえる。

「あの男が邪魔なのね…」

 と。

「…え?誰?誰なの?」

 聞き返す美加。

 だけど誰も答えない。

 しばらくすると母親の声がした。

「ちょっと、パパ、どうしたの、パパ!」

 せっぱ詰まった様な声だった。

 だけど、美加は父親と喧嘩中、様子を見に行けなかった。

「もしもし、夫が、夫が大変なんです…」

 何やら電話をかけた様子の母親。

 どうやら、救急車を呼んだみたいだった。

 まもなく、救急車が到着し、父親は病院に運ばれていった。

 母親も付き添いで出て行った。

 誰もいなくなった所で、美加はさっき父親と口論になったリビングに出る。

 当然、誰もいない。

 だが…

「邪魔者一人、居なくなった…」

 また、声が聞こえた。

 二時間後、病院に付き添った母親から電話があり、父親が亡くなった事を知った。

 心臓発作だった…。

 悲しくなり、宏明に電話する。

 宏明の反応はこうだった。

「え…、お前の家もか?」

 宏明の家の父親も別の病院で死亡が確認されたとのことだった。

 奇しくも同じ時間。

 宏明の父親は交通事故だったらしい…。

 偶然か、二人の交際を邪魔していた二人がいなくなった。