「パンドラって呪いは女の呪いだけど、いろんな物にも宿って人に悪意を撒き散らすって榮一郎さんが言っていたよ」
「じゃ、じゃあ、これが…」
「そう、これが、大森さんに襲いかかった悪意だ」
俊征は敵を睨む。
「だ、駄目…!」
とっさにパンドラの花を庇う香月。
彼女はすでに、パンドラの虜になってしまっている。
「べ、弁償はします!」
俊征は香月を振り切ってパンドラの花を握りつぶした。
「ぎぃあぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
どこかで、女の断末魔が聞こえた。
すると、我に返ったのか、香月が泣き出した。
俊征は香月もパンドラの魔の手から救い出した。
「ありがと、俊征君!」
「えぇ、あのちょっと、大森さん…」
香月は俊征をそっとハグしてキスを…しなかった。
さすがに、玲於奈の前ではちょっと出来なかった。
「ちょっと、かづっち!」
「ゴメン、ゴメン、でも、感謝の印くらいさせてよ!私も嬉しかったんだからさ!」
「そっか、そうだね、ゴメン、私も同じだったし…」
「私は親友の彼氏を取ったりしないわよ」
「ごめーん、疑って悪かった」
「サーティーフォーのデラックスソフトで勘弁してあげるわ」
「高ぁーい、まけて!」
「だぁめ、親友を疑ったあんたが悪い」
「だって、かづっちが変なことするから」
「冗談よ、私が奢るわ!あんた達が居なかったら私は今頃どうなっていたか…」
再び、明るい雰囲気に包まれる。
災難は再び去っていった。
だが、玲於奈に引き続き、親友の香月まで…。
パンドラという呪いはそんな身近な所まで迫っている…。
それを実感せずにはいられない二つの事件だった。
「自分、榮一郎さんに言ってくる。自分に助けられる人がいるなら…って…」
「私もついて行くわ」
俊征の決意に玲於奈も追随しようとする。
「なら、私も!」
そして、香月も。
「え?大森さんも?」
「そうよ、悪い?パンドラはこの私に喧嘩を売ったのよ!このまま黙って引き下がるつもりはないわ!叩き潰してやるわ」
「だめよ、かづっちは、栄養失調気味なんだから、回復してからじゃないと…」
「平気よ、これくらい…」
「あ、あの、気持ちだけ…、後は、回復してから…」
「ふぅ、…わかったわよ、足手まといにはなりたくないしね、回復してからにするわ。回復してからにね、見てなさい、こてんぱんにのしてあげるから!」
「こわーい、パンドラよりかづっちの方が怖いよぉ~」
「何ですって?!」
「ごめーん、お優しいお姉様!」
いつもの調子を取り戻したようで、安心する俊征。
だが、パンドラをこのままにはしておけないと思った。