
「大森 香月さんですよね」
「はい、そうですけど、どちら様?お花屋さん?」
「はい、フラワーショップフローラの店員です。小島っていいます。ファンです。頑張って下さい」
「ファンって言われても私はただの読モ(読者モデル)だよ」
「でも、ファンです。応援してます」
「…ありがと。それ、綺麗な花ね」
「はい、新種のバラでパンドラって言います」
「へぇ、パンドラ…、私はどちらかっていうとオーロラってつけたいな」
「そ、そうですか?」
「そうよ、だって、まるで、夜空の様な色の花びらにオーロラみたいなアクセントがついているじゃない?ほら、ここに!」
「そ、そうですね…でも、オーロラじゃなくてパンドラ…」
「わかってるわ、パンドラね。ありがとう、いただけるの?」
「は、はい、受け取って下さい」
「じゃ、一輪だけね」
「はい」
香月はお洒落な帽子に刺して持ち帰った。
「かづっち、どうしたの?最近、元気無いんじゃないの?」
玲於奈は香月に尋ねる。
玲於奈にとって香月は三歳の時からの親友。楽しい事も辛いことも常に二人で共有していた間柄だった。
玲於奈にとっての香月も香月にとっての玲於奈も自分の半身のように思っている。
だから、その親友の変化はどちらにとってもすぐに気付くことだった。
「何でもない…、それより、玲於奈、俊征君と仲直り出来て良かったね」
「それはね、かづっちにも心配かけたね」
「ううん、私とあんたの仲でしょ、結婚式には呼んでね、何てね…」
「かづっち、変!」
「何処が?私はいつもこんなでしょ?」
「そうだけど、何か変、かづっち、もしかして、パンドラって女の人、周りに居ない?」
「居ないわ。…どうして?」
「かづっちには話して無かったけど、私、パンドラって女に襲われたの。かづっちもそうなら、私、トシと榮一郎さん呼んでくるから」
「…大丈夫よ、それより、今日、撮影だから、行くわ。ゴメンね」
「え、う、うん、わかった。でも、パンドラって女には気をつけてね!」
「パンドラって言う女ね、わかったわ…」
香月は玲於奈と別れて仕事に向かった。