「すみませーん、写真撮ってくれませんか?」

ハネムーンで若い夫婦が凱旋門で写真を撮ってもらおうと女性に声をかけた。

外国語が不得意な夫婦は同じ日本人っぽい女性を見つけてお願いしたのだ。

「…良いですよ。…新婚旅行ですか?」
「えぇ、まぁ、二年の交際を経てようやくゴールインって感じです」
「…幸せですか?」
「そりゃあ、もう、あ、お願いします」
「…はい…、あ、このカメラ、壊れてますよ」
「え?おっかしいなー最新式のデジカメなんだけどな…あれ?本当だ、参ったなーどうしようかな…」
「…良かったら、これ使って下さい…」

女性はカメラを差し出した。

見たこともないカメラだった。

「いやぁ、悪いよ…それに操作方法とかわかんないし…」
「…これに住所とお名前を書いていただけますか?そうしたら、後で説明書をお送りいたします」
「…いや、悪いって…」
「…、いえ、私が壊したのかも知れないですので…それに、これは私からの結婚祝いだと思っていただければ…私は他にもカメラを持っていますし…」
「隆俊(たかとし)、良いじゃない、もらっちゃおうよ、私達の結婚祝いとしてさ」
「理彩(りさ)が、言うなら…じゃあ、ただでもらうのも何だからこれ、少ないけど…」

夫婦は女性にユーロで少しばかりの謝礼金を支払った。

会釈して去っていく女性。

隆俊は最後にもらったカメラのメーカー名を聞いたら女性は【パンドラ】というメーカーだと言い残した。

夫婦はその後、パンドラというカメラでいろんなものを撮しまくった。

三日後、ヴェネチアで理彩は失踪した。

まるで神隠しにでもあったかのように。

隆俊は知らなかったが、パンドラで撮した写真にたまたま写り込んだ人達も少しずつ失踪を初めていた。

そして、理彩を探していた隆俊は偶然、エクソシストと知り合うことができ、失踪事件を解決することが出来た。

カメラのレンズに杭を打ち込むことで大半の失踪した人は衰弱していたが帰って来たのだ。

だが、解決と言っても失踪した理彩は遺体となって帰ってきた。

無人のゴンドラにもがき苦しんだような形相で亡くなっていたという…

原因は写真にたくさん写り過ぎていたからだ。

エクソシストが退魔するころには生気を絞り取られ過ぎて命が尽きていたのだ。