次から次へと不思議な手品を披露する勇治先輩。

楽しい一時だった。

そして、最後の大マジックを残すのみとなった。

「皆さん、楽しんでいただけましたでしょうか?残すところは最後の大マジック。なんと、美女を土塊に変えるというマジックです」
「おぉー」
「いいぞー」
「川瀬君、彼女、お借りしていいかな?」

客席の後ろにいた榮一郎先輩が浩紀に声をかける。

あぁ、パンドラでマジックをしてくれるんだ…。

そう、思った。

粋な事をしてくれると素直に喜んだ。

「…良いですよ。よろしくお願いします」
「…そう、良かった。本当に良かった」

榮一郎は大げさに喜んだ。

ちょっとオーバーだなと思ったが浩紀は殆ど気にもしなかった。

「では、彼女さん、ちょっとよろしいでしょうか?お名前は?」
「…パンドラよ。よろしくね…」

不敵な笑みを浮かべるパンドラ。

もうすぐあなたは私がいただくわよとでも言いたげな顔だった。

にっこりと笑う勇治。

パンドラは促されて勇治の元に近づいた。

「では、よろしくお願いします」
「ふふふ、今度はどんなマジックかしら…」
「ええ、単純な手品なんですよ。このシルクハットを叩くとですね…」

バタバタバタ…

勇治がステッキでシルクハットを叩くと中から鳩が飛び出した。

いたってシンプルな手品である。

だが…

「ぎぃやぁぁあぁぁぁぁっ!!」

パンドラは苦しみ出した。

続けて勇治は服の中からありったけの鳩を出した。

全て白い鳩である。