その日の夜も悪夢は続いた。
今度は琉生と千景だった。
「最近、尚緒の事見てると無性にムカツクんだよね~」
「へぇ…実は私もなんだよね~」
「じゃあ、ちーちゃん私、面白い事考えたんだけどさぁ、ノる?」
「何、何?」
「尚緒の体操着にさ、へへ、これ、糊、塗っちゃおうか」
「面白そう…じゃあ、私、これ、売店で買ったクリームパンのクリーム塗ったげる」
「どんな顔するかな?」
「私、泣き出す方に100円ね」
「良いね、じゃあ私200円」
「それじゃあ賭けにならないじゃん」
「それもそうだ。マジうける~」
やっぱり、友達二人の悪意が聞こえる。
次の日は体育があった。
先生に呼ばれ、所用をすませ、次の体育に合わせて着替えようと体操服を見るとそこには糊とカスタードクリームがべったりとついていた。
「ひゃっひゃっひゃっ」
下品な笑い声が聞こえる。
見ると千景だった。
琉生と話していて笑っているようだ。
友達が自分を嫌っている?
疑心暗鬼が自分を支配し始める。
段々、悪夢はエスカレートしていった。
そして、悪夢を見た翌日はネチネチとそれが現実になっていった。
おかしくなりそうだった。
「尚緒ちゃん、どうしたの?」
母親が尚緒を心配する。
「う、うん、ちょっと気分が悪くて…」
「そう…顔色悪いわね、今日は休んだら?」
「でも…うん…休む」
この日から尚緒の登校拒否が始まった。
友達が見舞いに来るが尚緒は会いたくないと誰とも会わなかった。
だが、学校に行かなくなったからといって尚緒の悪夢は終わらなかった。
尚緒の家の近くを通る人の悪口が聞こえて来る。
「ここの娘、引きこもりみたいだな…」
「苛められてるの?かわいそうだな…」
「苛められる方にも原因があるのかもよ」
自分の悪口を言っているように聞こえてくる。
尚緒は耳をふさぐ。
だが、それでも声が聞こえる。
もはや、夢と現実の区別がつかなかった。
電話が鳴る。
前の彼氏からだった。
出ると今付き合っている彼女と間違えて連絡したらしい…。
バカにしてるんだ。
そう思っていた。
被害妄想もエスカレートしていった。
そう、亡くなる前の友加里に状況が似てきていた。
夜寝ると悪夢を見ると思って昼間寝て夜は起きている事にしたが、それでも悪夢は続いた。
情緒不安定になり、家族にもあたるようになってしまった。
見かねた母親は尚緒は病院の精神科に連れて行って見てもらった。
精神安定剤をもらい帰って来た。