その晩、尚緒はまた、夢を見た。
今度は下駄箱が倒れてくる夢だった。
彼女は下敷きになって足を折るという夢だった。
「嫌っ!」
彼女は飛び起きる。
起きてみると汗でびっしょりだった。
それでも浮かない顔のまま、登校する尚緒。
そして…
ガタン!
「きゃぁぁぁっ大丈夫?」
近くにいた千景が心配する。
尚緒は間一髪でよけられた。
「う、うん平気…わかってたし…」
「わかってたって?」
「ううん、何でもない…」
引きつった笑顔になった。
昨夜見た悪夢が現実になっている…
それでも、これまでの方はマシだった。
五回目の悪夢を見終わり現実となりなれてくるとあのひょろっとした男が再び姿を現した。
そして、すれ違いざまにこう告げた…
「今までのは挨拶だ…。本番はこれからだ…」
と。
そして、ニタァと気味の悪い笑い顔を見せた後、幽霊の様に掻き消えた。
尚緒はどうしようもなく不安にかられた。
その夜は眠りたくなくて、次々に友達に電話をかけまくった。
悪夢についての相談だった。
だが…
「気のせいだって…」
「違うよ、りっちゃん、必ず当たるんだよ、昨夜見た夢が!」
「デジャビュだよ、それは、気のせい、気のせい」
「気のせいじゃない、信じてりっちゃん」
「わかったわかった、信じたから、もう切るよ」
「信じてない」
「どうすれば良いのよ、いい加減にして!」
「ご、ごめん、…でも怖くて」
「枕元に見たい夢の写真を置くと悪夢を見なくなるって」
「ほんと?」
「さぁね、試したことないからね、ただ、そう聞いたことあるだけ。なっちゃんのは思いこみだからききめあるんじゃない?」
「そんな…」
立夏もまともに相手をしてくれない…
他の友達にかけても似たようなものだった。