「玲於奈ぁーっ!」
友達の大森 香月(おおもり かづき)が玲於奈に声をかける。
「………」
だけど、玲於奈は無反応。まるで聞こえていないかのようだ。
「玲於奈ってば」
「あ、香月じゃない、どうしたの?」
「どうしたのじゃないわよ、何回も声、かけたじゃない」
「あ、私の事だったの?気付かなかった」
「気付かなかったって、あんた、玲於奈なんて名前、そんなに無いわよ」
「そ、そうね、どうしちゃったんだろ、私」
「もー、しっかりしてよね、それより、あんたの忠犬はどうしたの?最近、一緒にいないじゃない?」
「忠犬って?」
「松村君のことよ」
「あ、松村君ね…そうね、どうしたんだろ…」
「どしたの?喧嘩でもした?」
「喧嘩?してないよ」
「いつも、彼の事【トシ】って呼んでるのに今日は呼ばないじゃん。何かあったの?」
「何も無いわよ…それより、パンドラ聞いたよ。良い歌詞ね」
香月はいつも、俊征の話を優先させる玲於奈が【それより】と言ったのが何となく引っかかったが、最近流行の流行歌、パンドラの話題に乗った。