「君もその怪しい男を見たのかい?」
 警察官が琉生に尋ねる。
「いえ、特には…。先日、友達が亡くなって、その友達も同じ様な事言っていたから、移ったんじゃないかなって思います。ちょっとナーバスになっているんですよ」
「違う、確かに見たってば…」
「君は疲れているんだよ。今日はもう帰ってゆっくり休みなさい。すっきりしたら、そんな不安は無くなるよ」
「違うんですって…」
「なっちゃん、良いから帰ろう。お巡りさんに迷惑だって…」
「るーちゃんも見たでしょ、あの怪しい男」
「疲れているんだって、なっちゃん…」
 警察官も琉生も尚緒の言うことを信じてはくれなかった。
 怪しい男は今もにやにやしながら、尚緒の事を見ているのに…