「で?君の言う怪しい人は何処にいるんだね?」
「あそこです。ほら、こっち見ています」
「?何処だね?あの人かい?初老の…」
「違います。ほら、その左に…」
「だから、何処だね?お巡りさんには見えないんだが?」
「見えないんですか?」
「見えないから聞いているんだよ。そもそも、その男は君に何をしたんだね?痴漢かい?」
「違います、じっとこっちを見ているんです」
「ははっ、君ねぇ、見ているだけじゃお巡りさん、しょっ引けないんだよ」
警察官は取り合ってくれなかった。
「ちょっと、なっちゃん、置いていかないでよ」
そこへ、琉生が駆けつける。
「ご、ごめん、ちょっと怖くなって…」
尚緒は置いていってしまった琉生に詫びを入れる。