だけど、彼は、いつも新たな発想によって足りない何かを補って行き、壁を退けて来た。
吟侍の前に立ち塞がった最初の難関は縄跳びだった。
幼稚園で彼は確かに持ってきたはずなのだが、無かった。が、友達が自分の縄跳びを使っているのを見てこれが自分のですと答えた。
孤児院育ちの彼の事を信じる者は誰もいなかった。
だが、彼は、孤児院に帰って無いのを確かめてくるといって幼稚園を飛び出した。
もちろん、孤児院に帰ったからといって吟侍の縄跳びが無いという証明にはならない。 大人が考えると全く意味のない行動にも思える。
だが、吟侍の縄跳びを盗んだ友達は自分がやりましたと先生に告げた。
吟侍の行動が盗んだ友達の心に響いたのだ。
先生に言われ、友達は吟侍に謝り、吟侍はそれを許した。
年端もいかない子供がそれをやってのけたのだ。
心の強さ…。吟侍という少年は幼い頃から壁に立ち向かう心を持っていた。
心があれば、時には自分の何倍もの力を持つ相手にも立ち向かえるのだ。
けど、彼女達トライ・ライフにはそれがない。
テソロはそう思っていた。