琴太と偲の出会いは、今から二年前の春。偲が修行が辛くて逃げ出した晩だった。
「あんたも夜桜を見に来たのかい?」
隠れていた偲の気配に気づき、琴太は声をかけた。
忍は影。人に見つかるなどもってのほかだった。
「私、やっぱり忍に向いてない!」
目に涙を浮かべる偲。
「そんなのまだわかんねえだろう?」
琴太はつぶやく。
「向いてないよ。私、逃げて来たんだもん」
「奇遇だな、俺もちょっと逃げて来たところだ。でも、すぐに戻るつもりだ」