「実は男の人の優しさに飢えている女の子がいるんですよ」
「ほんとー?」
導造は歓喜した。
マリアは吟侍に会いたかったのだが、まず、将を射んとすればまず馬からということで、弟と思われる導造に近づくことにした。
(ダメ人間っぽいけど、まぁ、この際、この男に近づいて様子を…)
マリアの本名はブリジット・コルラードといった。このメロディアス王国の人間ではない。同じセカンド・アースの三大大国の一つガーデン王国のエージェントだった。
任務は近々四連星へと冒険に向かうという吟侍という男を調べ上げること。
メロディアス王家のブルース国王にも認められた吟侍という男の使う、レア・フォースの一つ、情拳(じょうけん)…。
殴った者の心を揺さぶるとされる謎の拳…。
セント・クロスの子供達がこぞって習っているとされるその技の秘密を探ってくる。
それが、ブリジットに与えられた任務だった。
隙あらば吟侍をガーデン王国に連れ帰る。そのためなら色仕掛けだろうがなんだろうがやるつもりでいた。
だけど、隙がない…。馬鹿をやっているように見えて吟侍はかなりの切れ者だということは多くの人を見て来たブリジットにはすぐにわかった。
琴太は色仕掛けに応じるような男ではない。
だとすれば、必然的にこの抜けてそうな男、導造に近づくのが一番と判断したのだ。