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「ははは、こりゃすげぇ」
風に飛ばされながら芦柄三兄弟の次男、吟侍(ぎんじ)は笑った。
風の星ウェントス特有の現象、突風大乱舞は頻繁に人を上空へと運んでしまう。
落ちてしまったら死んでしまう。
そうならないようにこの星の住民は飛行薬(ひこうやく)というのを飲む。
それによって風の気を読み、多少飛ぶことが出来るようになる。
それで落下事故を防ぐのだ。
「ちょっとぉ、バカやってないで降りてきなさいよ!行くわよ」
メロディアス世界王家第六王女、ソナタ・リズム・メロディアスははしゃぐ吟侍をたしなめる。
彼女は吟侍の恋人カノンの双子の姉で、訳あって共に旅が出来ない彼女の代わりに吟侍のお目付役としてここウェントスまで来ていた。
「あ、おそなちゃん、おいらあっちも行ってみたいんだけど…」
吟侍の悪い癖だ。新しいところに行くと必ずあちこちで遊び回る。
「あら、そ。じゃあ椎茸食べるなら行っても良いわよ」
「…また、今度にします…」
吟侍は暴飲暴食はするし、好き嫌いが多かった。100種類以上はある。
だから、栄養が偏っている…。ソナタはそう思っていた。
一緒に旅をして彼の偏食を直す。それも一つの目標だった。