だが、真実は違うとルフォスは言った。
神御と亜空魔に倒されたのは2番から6番と8番、9番の7核のみ。
7番のルフォスは1番のティアグラという化獣と相打ちになり、10番から13番ははじめから血肉すらもっていない核(コア)のままの状態だったという。
1番、7番、そして13番は順番から考えると最初と中央と最後となり、それぞれ、過去、現在、未来を司る三大化獣とされ、ルフォスは化獣としての覇権を巡って1番のティアグラと争ったのだそうだ。
1番の化獣、ティアグラには勝つ自信はある!だが、13番の化獣は違った。
まだ、生まれてもいないその化獣がルフォスはどうしようもなく怖かった。
恐怖とは無縁のはずの化獣にさえ恐れさせる13番に打ち勝つためには、同じく恐怖というものを知り、勇気というものにより恐怖に打ち勝つ事が出来る存在、人間の力が欲しかったのだ。
騙して利用するという手もある…だが、そんなことをされた人間に勇気は期待出来ない。だから、ルフォスは幼い頃から吟侍の中の勇気の部分を徹底的に鍛えたのだ。
ルフォスは13番に打ち勝つための勇気が欲しい…
吟侍はカノンや友達を助けたい…
化獣と少年の利害は一致した。
化獣の手を借りるということは神御側の人間であり、自分を育ててくれたジョージ神父を裏切る事にならないか?
でも、こんな時、神御は手をさしのべてくれない。
たとえ化獣でも助けになってくれるのなら…
吟侍は悩んでいた。
『悩んでいるところで悪いがもう一つ話す事がある。お前が助けたがっているお花ちゃんは、ありゃぁ女神御(めがみ)の化身だ。いずれ、力に目覚めたら俺の血肉となるお前は一緒にはいられなくなる…それでも誓うか?』
「えっ…」
カノンと一緒にいられなくなる…その言葉が10歳の少年の肩に重くのしかかる。
どちらを選択しても吟侍にとってはつらいものになる…
『さぁ、選べ!俺の血肉となってカノンを助けるか、死んで楽になるか?』
「おいらは…」