「やっぱ、琴太はすげぇなぁ~」
「いや、フォルセだよ。」
「違うってウィルだよ。」

ジョージ神父が父親役をやっている孤児院セント・クロスは孤児院としてはとても大きく、メロディアス王家の援助もあって300人以上の孤児が彼を父と慕い、暮らしていた。

子供がたくさん集まれば、それはいくつかのグループが生まれるもの。また、誰が一番強いか?リーダーは誰か?
そんなものを決めたがるものだ。
今、セント・クロスではリーダーが卒院したため、新たなるリーダーを決めるべく、小競り合いが頻繁に起こっていた。
300人もいれば、ジョージ神父一人では面倒はみきれない。神父の見えないところで、けんかは日常茶飯事だった。

今のところリーダーに一番近い位置にいるのは、吟侍の義理の兄、琴太とフォルセ、ウィルの三人だった。
吟侍はどちらかと言うと義理の弟の導造と同じく、琴太に守ってもらわないといじめられるかもしれない立ち位置にいた。

実は、近々、メロディアス王家の双子の姫君がセント・クロスを来訪することになっていて、それまでに、リーダーを決めようとみんな必死だった。

リーダーになれば、直接、お姫様とお話ができる。そう信じている子供達は男の子、女の子の区別なく、本当はリーダーになりたかった。
お姫様と言えば憧れの存在だったからだ。
今現在、セント・クロスにいる子供の大半が双子のお姫様と同じ年頃でもあり、大いに盛り上がっていた。