前回は日持ちを調べる環境。
今回のお題。
どこまでが日持ちか?
今回も理屈っぽく、長いお話し。
年末商戦突入、お忙しい方は手が空いたときにお読み下さい。

日持ちの定義
「切り花を生けてから観賞価値がなくなるまでの日数」
「鮮度」よりはわかりやすい。
しかし、観賞価値が有るか無いかの判定は?
判定する人の「主観」
これでは「日持ち保証事業」は成りたたない。

花が何輪もあるスプレーバラ、スプレーカーネーション、スプレーマム、ユリ
1輪が枯れたら観賞価値が無くなったと判定する人があり、
1輪でも咲いていれば観賞価値が有ると判定する人もある。
なんらかの取り決めが必要。

そこで、花卉生産流通システム研究会(以下、研究会)が
「切り花日持ち評価リファレンステストマニュアル」を作りました。
2006年から現在もまだ細々と作業を続けています。

マニュアルは(財)日本花普及センターHPで公開。
現在は58品目のマニュアルを公開中。
来春までには14品目を追加します

http://www.jfpc.or.jp/reference_test/hyoka.html




画像 バラ(スタンダード)の日持ち判定基準




画像 ユリ(オリエンタル・ハイブリッド)の判定基準

研究会は京都大学農学部 土井元章先生を代表に
そのときどきの研究者、技術者がボランティア的に参加して作業を続けています。
私もその一員。

マニュアル作成は
農林水産省日持ち保証システムモデル実証事業(H15~17)を研究会が引きつぎ、
2006年は(財)国際花と緑の博覧会記念協会、
以降は(財)日本花普及センターのご支援をいただいています。

切り花の日持ち判定(観賞価値の有無)の方針
総合的に判定する
消費者の観賞価値が有るか無いかの判定は、
花がしおれた、枯れただけではない。
例 バラの判定項目
①花びらのしおれ
②ベントネック(花首のしおれ)
③開花の程度
④灰色かび病
⑤ブルーイング
⑥花びらの乾燥・変色
⑦がく、葉の黄変

それぞれの項目を
A(健全)からEまで5段階に判定
D、Eの判定が1つ、
またはCの判定が2項目あれば、その時点でアウト
観賞価値無し=日持ち終了

次に1茎に多数の花がある種類
スプレーバラ、スプレーカーネーション、グロリオサ、トルコギキョウなど
健全な花(A、B)が2輪になるとD(観賞価値なし=日持ち終了)
(健全な花が3輪あれば観賞価値あり)
ユリ(オリエンタルハイブリッドなど)
健全な花(A、B)が1輪になるとD(観賞価値なし=日持ち終了)
(健全な花が2輪あれば観賞価値あり)
スプレーバラ、スプレーカーネーションは3輪まで観賞価値ありですが、
OHユリは高価なので、2輪までは観賞価値ありとしました。

この考え方
判定する花に何輪の花が付いていたかは無視
その結果、
高品質な花は輪数が多い=2輪になるまでの日数が長い=日持ちが長い
低品質な花は輪数が少ない=2輪になるまでの日数が短い=日持ちが短い

もっと花の数が多いスプレーマム、小ギク、マーガレット、ブバルディア、キンギョソウ、デルフィニウム、ソリダゴ、リンドウなど
健全な花(A、B)が1/3または1/2になるとD(観賞価値無し=日持ち終了)

かんじんの宿根カスミソウのマニュアルはできていません。
私たちのカメラ、撮影技術ではカスミソウの小さな花にピントを合わせられないのです。

もちろん、健全な花が基準以上あっても、葉の黄変などが先行し、D判定になれば、その花は観賞価値無し=日持ち終了になります。

このマニュアルは大学や農業試験場の研究者、いわゆる学者の手によるもの
原理原則に基づいています=原理主義
生産者、農協、花屋さんなどが日持ちを調べるには煩雑すぎますので、
原則をおさえたうえで、
「えいやぁ」と判定していただいても問題はありません。

またこのマニュアルは完成品ではありません。
ウイキペディアのように多くの人のご意見、経験をいただいて
順次、修正、改良していければと考えています。

なお、日持ち、花持ち、花保ちなどいろんな用語がありますが、
「日持ち」に統一しています。
レザーファン、ドラセナ、ロベ、榊など花がない葉もの、枝ものも対象になるからです。
レザーファンに「花持ち」はないですよね。

次回からは、「どうしたら日持ちがのびるか」
年末商戦真っ盛りですが、のんびりした話が続きます。

(No.245 2014.11.30)

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