カスミの伝道師 谷一道さんのfacebook投稿記事を引用
 「母の日
 子供たちとお花屋さんに行き、
 子供たちに好きな花を自由に選ばせたところ、
 ピンク色で花芯が緑のマム(キク)を選択

 お店の人に
 「これはキクだけど大丈夫?赤いカーネーションもあるよ」
 と聞かれたのですが、
 「この花がきれいだからいいの」と上の子。

 マムが仏花と思っているのは単にわれわれの先入観で、
 子供や若い人にとっては他の花との用途での区別はないのかもしれないですね」
 (2014.5.9)

キクは葬儀の花、仏花と
用途を限定しているのは花業界

子どもは先入観なし
きれいな花はきれい
好きは好き
子どもの感性をむりやり
キクは仏花だから・・

「キクは仏花だから贈り物にはダメ」
花業界がそんなことを言いだしたのはごく最近

今でも欧米ではキクは贈り物、祝い事につかわれている

大田花き 花研ブログ「コーヒーブレイク」(2013.8.28)によると

http://www.otalab.co.jp/blog/2013/08/28/13.html

1972年(昭和47年)
第14回レコード大賞
受賞者に贈られた花束は「キク」

そこでネットで検索しました
確かにキクの花束を抱きかかえて熱唱
鮮明ではありませんが画像をごらんください

レコード大賞 ちあきなおみ「喝采」
黄色のキクと白の鉄砲ユリ



画像 レコード大賞 ちあきなおみ「喝采」
   花束は黄菊  
   隣りは小鹿ミキ

最優秀歌唱賞 和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」
こちらは白ギク



画像 最優秀歌唱賞 和田アキ子「あの鐘を鳴らすのはあなた」
   まさに墓花のような白菊
   セロハンにリボンをつけただけ
   しかし和田アキ子若いね

1972年(昭和47年)といえば
わたしは 兵庫県立農業試験場淡路分場のかけ出し研究員
わたしにとってはつい最近のこと

そのころはまだキクが祝い事につかわれていた
もちろん歌手の胸にはカトレアのブーケ

ここから先は「団塊の世代」の世界ですので
若いひとは読み飛ばしてください

大晦日
毎日放送のレコード大賞を見て
NHK紅白歌合戦を見る
家族団らん、こたつ、みかん、年越しそば・・
除夜の鐘
民放各局共同制作の「ゆく年くる年」
これが正しい日本のおおみそか

みんな見ていたレコード大賞

ちあきなおみに黄菊とテッポウユリの花束を渡したのは
琴櫻
当時は大関
のちスロー出世で横綱
「遅咲きの桜」と謳われた
横綱在位わずか8場所

横綱としての業績より
引退後 親方佐渡ヶ嶽として
琴風、琴欧洲、琴奨菊、琴光喜(残念なことになりましたが)などの弟子を育成

ちあきなおみのそばに和服姿で寄りそっていたのは
神戸出身の小鹿ミキ
なんで小鹿ミキだったんだろう
アイドル
当時は「肝っ玉かあさん」にでていた

和田アキ子は白菊
いまでいうところの「墓花」そのもの

渡したのは
大学横綱から一気に大相撲の横綱に駆けあがった輪島
当時は大関
黄金の左
下手投げで横綱にまでなったのは輪島だけ

北の湖(現理事長)との横綱対決は語りぐさ
さかりを過ぎていた輪島に若い北の湖
左下手の半身(はんみ)
右から強烈なおっつけ
左下手投げで北の湖をころがしたときには
輪島も起きあがれないほど疲労困憊・・

さて、ちあきなおみ、和田アキ子のキク

白は「天が原(あまがはら)」
現在の神馬以上の大スター品種
渥美では90%が天が原だったこともある

「初光の泉(しょこうのいずみ)」も白の名花

新品種には「天竜の朝(てんりゅうのあさ)」

古い品種の「東の光(あずまのひかり)」も健在

黄菊
もちろん「弥栄(いやさか)」
年末咲きの黄色の名花
「いやさか」で「弥栄」に変換できないのはクヤシイATOK

ピンクは「乙女桜(おとめざくら)」

天が原、弥栄、乙女桜の3品種が当時の白、黄、ピンクの大スター

淡路には露地のこもがけ栽培の「ジミレートホワイト」
愛称ジミー
芯の緑が絶品

さて現代
キクは仏花で祝い事にはつかえないのか?

花業界が自らの首を絞めることはない
葬儀からブライダルまでがキク

たとえば洋花の代表バラ
地域によっては「トゲ」がある花は
仏花、墓花、葬儀に用いない
ばちが当たる
(淡路島もそうです)
死者が「トゲ」で痛がるから?

しかし都会では葬儀の花にバラが増えている
まさに葬儀からブライダルまで


画像 宇津井健さんの祭壇は白バラ

ここからは若い人にも読んでいただきたいのですが・・
キクの用途拡大
どうするか?

1.菊(キク)とマムとに分ける
キクの学名はクリサンセマム(Chrysanthemum)
英名も同じ
略して「マム」

わが国でも
スプレーギクは小ギクの仲間ではありませんという意思表示で
「スプレーマム」

ピンポン、アナスタシア、ディスバッドなど「洋ギク」は「マム」とよびましょう

呼び名をカタカナにすることで和花が洋花になります

2.「洋マム」の統計
Yohoo、Googleの検索

「1ページ目に登場しないものは存在しないのと同じ」といわれる
同じように統計に登場しない品目は存在しないのと同じ

現在、洋マムは神馬や精興の誠と同じ輪ギクに属している

輪ギク流通量9.4億本(国産8.7億本+輸入0.7億本)(2012)には洋マムも含まれている

洋マムの流通量は3,000万本(2011年)
現在は推定5,000万本

人気のダリア、ラナンキュラスでさえ各1,500万本

いかに洋マムの人気が高いかがわかる

輪ギクの平均単価は50円台だが
単価が高い洋マムの比率が増えてくると
輪ギクの平均単価が影響をうけ、実態とあわなくなる

現在の農水統計(キク)は
輪ギク、スプレーマム、小ギクの3分類

これを輪ギク、洋マム、スプレーマム、小ギクの4つに分類

役所はしくみをかえるのに時間がかかる

まず市場の統計
なにわ花いちばではすでに「特殊ギク」として
輪ギクとはわけています

3.「洋マム」をなんとよぶか
ピンポン、ディスバッドなどを総称してなんとよぶか?

本ブログではとりあえず「洋マム」としました
なにわ花いちばでは「特殊ギク」として独立した品目にしています

日本花き生産協会輪ギク部会、スプレーマム部会、種苗会社、花店、市場などでよい呼び名をつけましょう

4.洋マムは菊ではない
洋マムは外見はダリア
しかし花屋さんにとってはキクはキク

洋マムの消費
圧倒的に年末が多い(迎春用)
花屋さんはキクとして扱おうとしている



図 洋マムの消費は圧倒的に12月
  しかも最後の週
  洋花の代表バラに比べると年末需要がきわだっている
 (年間の入荷量の内の各月の入荷量割合)

洋花としてホームユース、ブライダル、贈答用・・
なんにでも使える花が洋マムです
花産業の宝
大事に育てましょう



画像 マムはなんにでも使える

花業界
花のプロ、玄人
先入観をすてましょう
冒頭の子どもの心、眼をもちましょう

菊とマム
同じであって同じではない

(2014.5.25 No.220)

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