これまでの3回は、
ロンドンオリンピックのビクトリーブーケについての考察
おさらい
ロンドンオリンピックのビクトリーブケは、国花のバラ
ところが、英国にはバラ切り花の生産がなかった
そこで、特定の生産者に生産を委託
では、2020年東京オリンピックが実現したら
国産の切り花でビクトリーブケをつくれるのか
なぜ、そんな心配をしなければならないか
国産の切り花生産は、推測統計学が予想したとおり
寸分のくるいもなく減りつづけています
そのことを花屋さんが実感しないのは、
国産が減った量を輸入が補っているから
国産減少の先頭を走っているバラ、カーネーションは
2020年にはそれぞれ1.8億本、1.9億本の生産が残っていることが推測
それはピーク時の37%、27%

推測統計学の予測では
国産バラ、カーネーションはどちらも2032年に0
つまり、あと20年
なにか手をうたなければ
しかし、考えてみて下さい
バラ、カーネーションが減りはじめて15年
生産者、行政は手をこまねいていたわけではありません
さまざまな手を打ち、活動をしてきました
それでも、推測統計学の予測をくつがえすことができませんでした
なにがまちがっていたのか?
それは、大きな量を持つ農協の役割を軽視していたこと
農村に住んでいない人が農協(農業協同組合)を理解するのはむつかしい
沢口靖子がテレビで宣伝している「JAバンクおおさか」も農協
農家のお金を集めて運用する「農林中金」はメガバンクに匹敵
「全国共済連」は日本生命に匹敵
金融、共済から住宅ローン、農業資材の販売から花の栽培指導、市場出荷などなど多彩
しかも、市町村(単協)→都道府県(経済連)→国(全農)の3重構造
全農は東京大手町JAビルに陣取る
お隣は経団連会館と日経ビル、おむかえは三井物産

では、なぜ花の生産において農協が軽視されてきたのか
①オピニオンリーダーたちが主催するセミナー、研修会のお客ではない
これらのお客は個人農家
どちらかというと、農協と対立する立場
②生産者団体の組織のリーダーは鉢もの農家が多い
鉢もの農家は、会社組織などで個人出荷、
農協に依存していない
③農協自身、特に全国の農協を束ねる全農は
花に冷淡
稲麦大豆に畜産中心

その結果、花のさまざまな施策や活動は個人農家主体
とはいえ、農家は全員、農協の組合員
農協を通じて系統出荷するか、
農協をとおさず、個人、任意組合など自分たちで出荷するかだけの違い

切り花で農協をとおして出荷(系統出荷)と農家自身での出荷を比べると
農協(系統)が78%、農協以外(非系統)が22%
流通している切り花の80%近くは農協出荷(系統共販)
一方、鉢ものは農協(系統)20%、農協以外(非系統)が80%で、
個人農家(会社)主体


表 切り花の出荷業態別の出荷割合
$宇田明のウダウダ言います


どんなに悪口をいわれても
日本の農家を結集し、花を販売しているのは農協
農協の活動なくして日本の花生産の未来なし
経団連に匹敵するような巨大組織を変革するのはむつかしい
多くの人々が無力感におちいってきた
それでも・・・
①全農は花の生産と販売に指導力を発揮せよ
②全農には優秀な研究機関がある
神奈川にある営農・技術センター
農家の切実な省エネ対策に取り組むこと
③全農として、さまざまな花の消費拡大活動に参画すること
④農協職員の各種セミナー、研修会への参加
農協職員の技術向上が農家の経営改善に直結
⑤全農による地域農協職員の技能向上研修

今回は、花屋さんに直接関係がない話になってしまいました