■要件


他人の①商品等表示が、②周知であること、③その他人の商品等表示が侵害者のそれと同一または類似であること、④両者に係る商品や営業について出所の混同を生じるおそれがあること。

■商品の形態が商品等表示に含まれるか


「商品の形態は、もともと、その商品の目的とする機能を十分に発揮させるように選択されるものであって、商品の形態の選択には自ずから右目的からくる一定の制約が存する。しかし商品の種類によっては、右制約の範囲内で需要者の嗜好の考慮、構成材料の選択などにより同種商品の中にあって、形態上の特異性を取得する場合があるし、それに宣伝などが加わって、商品の形態自体が、取引上、出所表示の機能を有する場合がある。

そして、そのような場合には、2条1項1号の趣旨に照らし、商品の形態自体、同法条に言う「その他商品又は営業を表示するもの」に該当するものといえることは明らかである。」

(ナイロール眼鏡枠事件 東京地S48/3/9)


・要件

商品の形態が客観的に他の同種商品とは異なる顕著な特徴を有しており(特別顕著性)

②その形態が特定の事業者によって長期間独占的に使用され,又は極めて強力な宣伝広告や爆発的な販売実績等により需要者においてその形態を有する商品が特定の事業者の出所を表示するものとして周知になっていること(周知性)






・技術的形態除外説

「2条1項1号の趣旨は、商品の形態自体やそれによって達成される商品の機能を当該事業者に独占させることを目的とするものではないものの,商品の形態自体が上記「商品等表示」に該当し,当該商品の販売行為が同号に該当するとすると,その場合には,当該形態を有する商品の販売そのものが禁止されることになる。

このような場合(略)、商品の形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するため他の形態を選択する余地のない不可避な構成に由来するときは,結果的に,特許権等工業所有権制度によることなく,永久にその形態によって実現されるのと同一の機能及び効用を奏する同種の商品の販売が禁じられ,第三者の市場への参入を阻害し,これを特定の事業者に独占させることになる。このような形態が商品等表示に該当するとすると,結果的に,周知な商品等表示の有する出所表示機能を保護するというにとどまらず,商品の技術的な機能及び効用を第三者が商品として利用することを許さず,当該商品についての事業者間の公正な競争を制約することとなる。
したがって(略)、当該形態が商品の技術的な機能及び効用を実現するため他の形態を選択する余地のない不可避な構成に由来する場合には,これを工業所有権制度によることなく永久に特定の事業者に独占させることは相当ではないから,上記「商品等表示」として保護することはできないと解するのが相当である。」