明治元年より150年続く、花と植木の卸問屋「株式会社 花宇」の5代目。 日本全国・世界数十カ国を旅し、収集・生産している植物は数千種類。
2012年1月 ひとの心に植物を植える活動である、“そら植物園”をスタート。 様々な個人・企業・団体と植物を使ったプロジェクトを多数進行中。
〝雑草のように強く生きる〟は間違っている
〝雑草のように強く生きる〟という言葉をよく耳にします。踏まれても踏まれても立ち上がる雑草の姿を人に投影して用いる表現です。〝雑草魂〟という言葉は、逆境にも負けない根性を称えた表現なのでしょう。
この言葉に使われている「雑草」とは、実際どのような植物を指すのでしょうか。
雑草とは特定の植物の名前ではありません。草本にはそれぞれ名前があり、「雑草」とは便宜上人間が勝手につけた呼び方なのです。
雑草の定義とは、農耕地などら人間がいる開墾し作物などを育てようとしている場所に、人間の意図に反して侵入し、育っている草すべてのことを指します。
考えてみれば、これは植物に対して大変失礼な言葉ではないでしょうか。
人間は、自分たちのエゴで耕した場所を占領し、そこで採れる作物以外の、〝勝手に〟生えてきた(と思っている)草を、「雑草」と呼んでいるのです。彼らは、私たちが誕生する4億年以上も前から地球に生息している、いわば先住民であるのにもかかわらず…。
実際に雑草と呼ばれる草は、ヘクソカズラ(屁糞葛)やハキダメギク(掃溜菊)、ワルナスビ(悪茄子)というように、ネーミングにも人間さまが迷惑がっている様子や、植物に対する侮辱が反映されている例が多く見受けられます。
(中略)
まさに雑草という言葉は、私たち人間本位の言葉であり、エゴイズムを象徴する言葉であり、そうやって生きてきた人間の歴史そのものを象徴する言葉といえるのです。
〝おかげさま〟とは、植物のこと
「パンがないならブリオッシュ(ケーキ)を食べればいいじゃない」
マリー・アントワネットは、小麦が不足してフランス国民がひと切れのパンですら食べられない状況にあることを聞いたとき、そう答えたといいます(誰の発言かは諸説あるようです)。
私たちにとって植物はあまりにも身近すぎて、日常のどのシーンで、どの植物が、一体どれだけの恩恵を、知らず知らずのうちに自分に与えてくれているのかということに、なかなか気がつかないものです。
パンもブリオッシュも原材料は小麦です。
パンを作る小麦が不足していたら、ブリオッシュも作ることはできないのです。
植物は二酸化炭素を吸収し、私たちが生きていく上で欠かせない酸素を供給してくれています。
(中略)
日本語には〝おかげさま〟(御蔭様)という
美しい日本語があります。これは、他人などから受ける恩恵や利益に対して感謝の意を表する言葉ですが、そもそも〝御蔭〟とは神仏の助けを意味しています。ですから〝おかげさま〟とは、目に見えないものに対する尊敬の気持ちが表れている言葉なのです。
今日、私たち人類にとって、植物ほど目に見えないところでお世話になっている偉大な存在は他にありません。これは地球のどこで生活していようとも同じです。
植物に対して〝おかげさま〟の気持ちをいつも忘れずに持っていたいものです。


