ただ、涙を誘うような切り口で
大人たちが巧みに次の若き死を
誘導しているようにみえた。
SNSのタイムラインに
流れる大衆の涙は、乾く
のもはやい。
子どもの体に、隙間もなく
巻かれている包帯はいつも、
赤く寂しく染められている。
大人の一心不乱の愛はサハラの
砂漠で巻く水のようで、子ども
には届かない。
大人と子ども。
愛し愛される存在であることを
放棄してはいけない。愛は
引き継いでいくものだ。
無人駅のベンチで一人佇み、
丘の樹の下で足を伸ばす詩人を
眺めながら貴方はこう言うだろう。
「神様はどこにいるかわから
ないけれど、それでも祈る
しかないんだ、あの詩人
のように」。