今日は勤めていた頃、とてもお世話になった方からDVDが届きました。 ![]() な、なんと!仁左衛門さんがまだ孝夫さんだった頃よ。 何?今から34年前? 仁左衛門さんは40歳? そら、めっちゃ色気があるときですやん。 クライマックスの油屋のヌルヌル格闘、その後の窃盗と逃亡、表情がゾクゾクするくらい悪い。 夏に幸四郎さんの与兵衛を観たけど、彼のは良くも悪くも淡白でスマートなのね。 そうそう。 お吉が先代の芝翫さんで、橋之助さん(現芝翫)が小菊、女形をやってたよ。(笑 橋之助さんは、シュッとした美人さんでしたわ。 私がまだ歌舞伎を観たことがなかった頃の映像で、とても勉強になりました。 ありがとうございます。 20年以上お会いしていないのに、気に掛けて下すっていることが嬉しいです。 ふふふ、その方は、このブログの読者でもあるの。(笑 こういうとき、ブログをやっててよかったと思うし、始めた目的を思い出します。 しょうもないことでも、毎日続けてることに意味があるんですね。 さて、この流れでこの間の「通し狂言 雙生隅田川」の記録をしておきます。 ![]() 梅若丸は、朝廷から預かってる「鯉魚の一軸」に目を入れて、鯉を逃してしまった責任を取って出奔するんだけどさぁ。 ↑鯉魚の一軸が「美人の一軸」や「リヨンの無花果」に聞こえた。 なんで幼子1人で出奔するねん! お坊ちゃんやのに、お付きがおらんのかい! と一応突っ込んでおきます。(笑 この幕は、松若丸と梅若丸の2役を演じてた右近さんの発表会そのものでしたな。 めっちゃ可愛らしいし、頑張ってましたよ。 おばちゃんらのハートをキュンキュンさせてたんじゃないかしら。 ハハハ。 結局、鯉魚の一軸から鯉が消えてしまった責任を取って、家臣の淡路前司が切腹するの。 つまり、梅若丸の身代わりになったのね。 淡路前司は、息子・七郎が一万両を横領したのに、主君が勘当のみにしてくれたことに恩義を感じてたんだな。 唐突にこのエピソードが入って来て、???だったんだけど、これは伏線だったのねー。 ちょっとベタと言えば、ベタか。 そうそう。 悪家臣・景逸を九團次さんがやってみえたんだけど、彼、小海老蔵なのね? 表情の作り方とか、台詞回しとかソックリ。 ワザと近づけてるの? 男前で器用な人だと思うんだけど、惜しいなぁ。 二幕目は、人買い業をやってる男(右團次)が売った子供を返品されて、頭に血が上って、女房が止めるのも聞かず殺しちゃうの。 ひえええ〜。 とそこへ、吉田家の県権正武国(海老蔵)がタイミングよく、「こんな子供(梅若丸)を知らんか?」と訪ねて来るの。 おや?お前は、淡路前司の息子、七郎でないかい? どうする?どうする?七郎。 ここで言い繕うのかなぁと思ってたんだけど、殺してしまったことをあっさりカミングアウト。 人を攫って売ってるような悪い奴が、こんなにあっさりカミングアウトする? 仲買人やなくて、誘拐犯&売人やで。(笑 「また吉田家に戻るために、この10年人買いに身を落として貯めに貯めて、あと十両で1万両貯められるとこやったんやー」 「それをあの子供が返品されて、カーッと頭に血が上ってしもて..」 と告白。 んで天井を突けば小判、畳下から小判。 出て来る出て来る。 因果な世界がお金によってよく表現されてる。 「グワーッ、ワシは何のためにこの10年やってきたんやー」 「あああぁぁぁ〜、後悔してもし切れん、自分のバカバカ!」 でもさぁ、ここで冷静なこと言うけど... 女房を足抜けさせるために一万両を横領したらしいんだけど、一万両って、今の価値で10億円くらい? なんぼなんでも、10億円ってあり得る? どんだけ高級コールガールやねん。 吉田家がどんな家か知らんけど、10億って!?お家、潰れるで。 ちっちゃいことやけど、めっちゃ気になるわ。 オイオイ。 七郎は県権正武国の刀を取って切腹して、自分の命を捨てて天狗になって松若丸を捜すと。 な・なんで天狗に!? ほんでもって自分で五臓六腑を引き出して、投げるのよ。 ↑五臓六腑はリアルに出来てて、かなりグロかった。 あれよあれよと言う間に、緊迫の場面に。 どどどどと太鼓の異様な響きと共に、七郎天狗に変身してどこかに去って行きました。 私ね、右團次さんの声の周波数と合わないのか、彼のセリフ回しが悪いのか、彼のセリフがいつも聞き取れないのね。 でも、このシーンでは、セリフ云々より演技の迫力が勝ってねー。 心が震えたよ。 海老蔵さんもセリフが少なくてただ座ってる役だったんだけど、ええねぇ、ええ姿でした。 美しいものはいるだけでいいよね。 って!どういう意味やねん。 三幕目は、猿之助さんが主役ね。 双子が行方不明になってご乱心の班女御前(猿之助)。 我が子を探して隅田川に辿り着く。 女の人が操る舟に乗せてもらって話をしてたら、この女性が七郎の女房で、梅若丸が死んだことを知る、 班女御前は、これ以上生きてられへん感じ。 見てるこっちも胸が締め付けられそう。 女房から「祥月命日やから、菩提を弔ったら?」と言われて念仏を唱えるの。 って!なんで加害者家族にそんなこと言われて、従ってんねん。(笑 いやいや、そこは関係ないですからぁ〜! そこに梅若丸が現れ、抱こうとするが姿を消してしまう。 ぬか喜びのあとの落胆って、半端ないやん? 班女御前は、絶望のあまり川に身を投げようとするの。 このとき、どどどどと七郎天狗が現れて、捜し出した松若丸を連れて来たー! さっき現れ消えた梅若丸は、実は松若丸だったのだ。 七郎天狗と松若丸、正気を取り戻した班女御前の3人は都を目指して宙乗り。 猿之助さん、あの事故から1年、これだけ情感たっぷりに踊れるようになるとはねぇ。 素晴らしい表現力でしたよ。 ただー、ちょっと丸々し過ぎじゃないかなぁ。 顎の辺りがヤバイ気がする。(笑) 三幕目は、小布施主税(米吉)が悪い奴らから鯉がいない「鯉魚の一軸」を守るのよ。 ここで突然、斎入さんの口上が入ったんだけど、心配なるくらいヨイヨイだったの。(笑 口上に並んだのは、米吉さんだけだったんだけど、斎入さんがあまりに噛み噛みだったから助け舟を出してました。 米吉さんの声はよく通るし、男性とは思えないほど美しいのよ。 眼福、眼福。 マリ造と2人で思わず拝んでしまったよ。(笑 そして、最後は、軸から逃げた鯉を奴軍介(右團次)が捕まえようと、水の中で悪戦苦闘。 ワンピースにNARUTOの本水を見てると、ちょっと迫力に欠ける? いやいや、鯉を捕まえようとする様がよく表現されてたよ。 無事鯉を捕まえて、お軸に戻して、めでたしめでたし。 うん、これは面白い演目だわ〜。 今年、観た中では2番目に良かった。 ↑一番は仁左衛門さんの「絵本合法衢」ね。 ![]() 席は5列目のセンターだったの。 どなたかの後援会で押さえてた席だったのかなぁ。 周りはかなり個性の強い人達が多くてねー。 私の隣の人は、誰が一番早く拍手をしたか選手権があったら、きっと一番になってたと思うよ。 ハハハ。 拍手も頭の上でするし、勢いもあるから風が来るわ。(笑 しっかし、5列目やのに、なんで双眼鏡で観てたんやろ。 ホクロの数でも数えてたんやろか。 「クセが強いっ!」「圧が強いっ!」と心の中で思っておきました。 |


