君子は言に訥(とつ)にして行に敏(びん)ならんと欲す
(里仁第四 24)
『立派な人は、平生は口を閉ざしているが、行動する
ときは早くしようとする』
BC48年8月に、最大の政敵、元老院派のポンペイ
ウスをファルサロスに破ったカエサルは、その後、内戦中
のエジプトを平定し、しばらくアレキサンドリアで静養して
いたが、小アジアで起こったファルナケスの反乱を、微弱
な敵ではあっても、神算の速さで討伐に向かい、そして勝つ
(ゼラの戦い BC47年)。
この経緯をカエサルは、元老院へ「来た 見た 勝った
veni vidi vici」と、簡潔な手紙で報告する。カエサルは、
文章力にすぐれ、特にその簡潔明瞭さに特徴がある。カエ
サルの文体や演説を、『訥』というつもりはないが、余計な
修飾語をつけないのは、いかにも武人らしい。一方、その
行動力は、まさに『敏』そのものである。
「プルターク英雄伝 ―カエサルー」
(久井 勲)