礼の用は和を貴しとなす   (学而第一 12)

 

 嘉納治五郎が柔術諸流派の優れた点を取り入れて創始

した講道館柔道の奥義が、柔よく剛を制す(柔能制剛)

である ことは有名だ。柔能制剛の出典は『三略』にあり、

それはさらに、『老子道徳経』第78章の「――柔の剛に

勝つは天下知らざるなきも、能(よ)く行なうことなし」に

さかのぼる。しかし、これで奥義とするならば、柔道は

ただの格闘技術にすぎない。相手への敬意があってこそ

心身の鍛錬は修業となる。「精力善用、自他共栄」――

和の心を説くところに、道の道たる所以がある。

   (久井 勲)