久し振りに原宿に行った。
 ちょっと眼鏡が壊れたので、修理に行ったのである。
 作ってくれた眼鏡店に持ち込むと無料で修理してくれるから、ちょっと足をのばして行った。
 その帰りに表参道ヒルズの裏を通って原宿駅まで帰って来た。
 表参道ヒルズが完成したばかりの頃は、安藤忠雄氏デザインのコンクリートの打ちっ放しで、表参道ヒルズの裏はほとんどまるで三億円事件の事件現場のような感じであった。
 それが今では、こんなに蔦を全面に這わせて全く異なる風景となっていた。下の写真では、歩道との手摺の所は蔦があると邪魔になるためか元と同じコンクリートの壁面が続いており建築当初の雰囲気を保っていた。


 この通りの表参道側の出口には、新潟県のアンテナショップがあり、昨日は燕の金属器の展示即売会をしていた。その隣にリンツというスイスのチョコレートの店があり、試食をさせていたので、買わないのにリンドールを1個もらってしまった。先月、渋谷の店舗で、自腹で1個買って試食をして、3千円分買ったので、まあよかろう。
 渋谷の店舗の売り子のお姉さんとは、「ゴディバよりも美味しいですよね」という話で盛り上がったが、表参道の店頭の売り子はアルバイトのようで、同じ話をしたが適当にあしらわれた。買わなかったから仕方がない。
 さて、手摺の壁であるが、さすがにヒビ割れが出ていた。仕事柄、水力発電所や原子力発電所のコンクリートの壁を見たことがあるが、そんなことにはなっていないので、手摺の壁については、このくらいの技能なのだろうなと思った。建物は蔦があって見えにくくはなっている。こちらにはヒビ割れなどは発生していないようであった。
 コンクリートは、半分は完全に日本で自給自足できる工業材料である。半分はと言うのは、コンクリートの原料は石灰石と石炭であり、昔は日本で自給自足していたが、現在では石炭は全量輸入に頼っているからである。
 それで思い出した。コンクリートの原料の石灰石とは化学名で言えば炭酸カルシウムである。炭酸カルシウムを石炭で高温に加熱すると、二酸化炭素を放出して、酸化カルシウムに還元される。これをいろいろな材料と混ぜ合わせてコンクリートとして建築の材料として使っている。製造時に大量に二酸化炭素を出す建築素材である。鉄も溶鉱炉で還元される際に石炭を大量に使うので二酸化炭素が出るが、屑鉄業者などが回収してリサイクルするので、リサイクル時には二酸化炭素の放出量は少なくなる。コンクリートはリサイクルできない。
 そのうち、日本に来る外国人の知的水準が上がってくれば、コンクリート建築を作るために、日本人は大量の二酸化炭素を放出しているとクレームが付くかもしれない。
 そうして石炭を一切禁止するような事態となれば、コンクリートを製造できなくなる。この辺のことは、日本政府は今から考えておいた方が良いと思う。
 ただし現在は、原宿の通りを散策しながらこんなことを考えるのは、あそこを歩いていた数万人の中で僕一人くらいかもしれない。