患者さんから、アレクサンダーテクニークの良い本があったら推薦して欲しいと言われて、本棚の奥から20年前に読んだアレクサンダーテクニークの本を出して来て、どれが良いか再読し始めたが、結構、面白いので、一冊一冊感想文を書いてネットにアップしようかと思っている。

 さて、その一冊目。
バーバラ・コナブル著『音楽家ならだれでも知っておきたい「からだ」のこと』(誠信書房、2000年)
 この本は100ページほどの薄い本であるが、図解がされていて、身体の動きが分かりやすいように解説されている。この本は、ボディマッピングということを中心に解説されており、基本的な考え方は「ボディマッピングが正しければ、アレクサンダーの言う所のプライマリーコントロールによって、身体の動きが適正化される」ということで書かれています。
 たとえば、この本ではどこの筋肉を緩めるのか図示されていますが、私が体操教室や治療の際に「緩めてください」と言うと、空想の世界で緩めようとして、全く筋肉が緩まないという興味深いことが起きます。そこで私は、緩めたい筋肉を手で触れて、その筋肉が緩むように工夫しましょうと教えます。
 このように教えることで、生徒は、僕から習ったとは自覚せずに、自分で工夫して緩めたという錯覚が起き、自信につながっていきます。
 自分でやっているように錯覚させることが、非常に大切です。
 この本では、その辺のことが丁寧に解説されているので、読みながら自分の体を動かして、納得がいくように研究できるようになっています。
 先ずは、自分の骨格を正確に知る事から始まり、どのように関節が動くのか神経系によって動作をしてみて、最後はどの筋肉が動くとそのような動きになっているのか筋肉を理解していきます。呼吸をしたり、楽器や道具を使ったりする際に、身体が受ける反作用や身体自身の慣性力(重さ)を感じることで、動作の精度が上がっていきます。
 この本には、このようなトレーニング方法が簡単に書かれています。