先日、うちの針灸院に来た患者さんから、アレクサンダーテクニークについて質問された。
 オーストラリアの役者だったアレクサンダーは、ある日、舞台の上で声が出なくなり、あちこちの医者を尋ねたが、誰も治すことが出来なかった。
 そこで、自分で研究を始め、頭蓋骨・頸椎・胸椎・腰椎などのバランスが大切であることを発見し、「プライマリー・バランス」とか「プライマリー・コントロール」と呼ばれる状態を維持することで様々な病気が治り健康が保てることを発見した。人間は、様々な状況や欲望などによって、そのプライマリーコントロールが効かなくなるような癖がついてしまうと、様々な身体上の不都合が起きる。
 そのように、アレクサンダーは考えた。
 アレクサンダーテクニークでは、そうして癖を解除して、プライマリー・コントロールが作動するような身体に持って行くことを目的としている。
 日本語でも、治療のことを「手当て」と呼ぶように、アレクサンダーテクニークでは術者が患者の身体に手で触れて優しく誘導していくことで、治療を行っている。他人からやってもらった方が簡単に治るが、自分一人の場合でも自分の物事の考え方を点検し様々な感情的なことや思い込みを克服することで、同様な効果を得ることもできる。通常は、この両者を併用する。
 そのため、アレクサンダーテクニークでは「気づき(アウェアネス)」ということを大切にする。