昨日掲載した記事


の裏付け追加事項として、、、


圏央道の建設時における「地質柱状図」にて、備前堤付近の河川地質を確認します。




■Aポイント〜元荒川から離れた台地部分


この場所の柱状図を載せた目的は、大宮台地特有の「関東ローム層」の堆積状況を確認する為のものです。
この柱状図では、地表面から深度2.7mまでがローム層であることを確認できます。


■Bポイント〜元荒川部分


このポイントでは、地表面の土状が「埋立」となっている事から、沿岸の低地部分を埋め立てた経緯が読取れます。

次に、此処では上記-Aに見られた「ローム層」の存在を確認することができません。

これは火山灰が降灰しても河川の流れに因って堆積する事がなかったと想像できます。


■Cポイント〜赤堀川部分


表層部分から深度1.5mまでの土状は「盛土」になっています。

これは河川沿岸の地盤面が低かったことによって、地盤面を嵩上げした様子が窺えます。


この柱状図で重要なポイントですが、上記「B -元荒川」同様に此処でも「ローム層」の存在が見られません。

赤堀川の呼称について「ローム層の赤土を人工的に掘った人造河川であったことが由来する。」と記した論文を見たことがありますが、この柱状図が語る様に赤堀川沿岸にはローム層の堆積が確認出来ないことから、元荒川部分同様にロームが堆積することなく、河川によって流されたことを示します。


■Dポイント〜赤堀川から離れた箇所


このポイントでもローム層の存在は確認出来ません。



土地条件図においても、柱状図通りの表示になっています。


■結論

この柱状図を掲載した趣旨は「赤堀川の流量」について、地質から検証する事を目的としました。

これについては、赤堀川部分(Cポイント)のみならず、赤堀川から離れた場所(Dポイント)でもローム層を確認できないことから、「赤堀川はローム層を人工的に掘削した河川ではない。」及び、「ロームを堆積させる余地のない河川の流れが存在していた。」と推測することができます。


従いまして、昨日に記した内容に重ね、上記のことからも備前堤の築造以前に「赤堀川ルートに旧荒川の水量ある流れが存在していた。」と判断するのが妥当ではないかと思われます。

そして、その水量豊富な流れは綾瀬川へと直流したことに因って、時には綾瀬川下流地域で水害をもたらすなど、数多くの蛇行跡や台地が侵食された現在の地形が形成されたとの経緯が想像できます。

これに伴い、綾瀬川の流量を抑える目的として、備前堤の築造によって旧荒川(赤堀川ルート)の流路を元荒川筋への変更に繋がって行ったものと考えられます。

但し、この時点で備前堤から下流域の元荒川筋が人造ルートの可能性*があったのではないか?との不確定要素は残ります。

*人造ルートの可能性〜3/19付けの下記をご参照下さい。




その後(久下の荒川瀬替え時期以前)、上流部分において流路変動が生じ、旧荒川は現在の元荒川筋へと流路が変わっていったのではないかと個人的に考えています。