34週になると一度分娩する病院に罹らなくてはいけなかったため、その流れで実家にいさせてもらったが、

ずっと里帰りで実家にいるのも気が滅入ってきたので、一時帰宅することを親に伝えた。
もともとは公共交通機関で帰る予定だったが、父が「送って行くよ」と言ってくれた。


昨年建てた新居にまだ来たことがなかったので、「ついでに見に来るのかな」と勝手に思っていた。

ところが前々日になって父が、

「一時帰宅の送りは、どこまでしたらいいのか。ショッピングモールAまでだったら、旦那さん迎えに来れるか?」と聞いてきた。
ショッピングモールAから私の家までは、車で30分ほどかかる。

思わず「え? 家まで来ないの? 家、見たいんじゃなかったの?」と聞いてしまった。
すると父は、「見たくないわけじゃないが、歳を取ると億劫になるんだよ。B駅までだったら行けるか?」と返してきた。
B駅は私の住む隣の市にある駅で、ショッピングモールAよりもさらに自宅から遠い。

私の住む市までは、実家から車で1時間程度。
両親は何度もこの市に来たことがあるし、つい最近、父の車のカーナビにも私の家の住所を登録したばかりだったので、耳を疑った。

 

 

「じゃあ、市内に入ったら私が運転するよ?」
と提案しても、反応は煮え切らない。

「お父さん、お母さんと2人で来るより、私が一緒に乗ってた方がナビできていいんじゃない?」と言ってみたが、
「3人で来るより、お母さんと2人の方がいい。ぱぴこがいると甘えちゃって、道が覚えられない。お母さんに『あそこ左』とか言われた方が分かりやすいんだ」とのこと。

「そんなこと言ってたら、一生私の家に来られないよ?」と返すと、
「行けるから。今度行くときは、どこかで合流して、ぱぴこの運転する車について行くようにするから……」とゴニョゴニョと濁すばかり。

普段あまり父に反論しない母も、「それって矛盾してない?」と一言。
それでも父は明言を避け、
最終的には「一時帰宅の送迎の件、ちょっと考えさせて」と話が終わった。

その後、なんとか自宅まで送ってもらえたのだが——
実は、その帰宅時にもひと悶着あって……。
(続きは明日)