隅田川ゆう子のトーキョー・ゆるゆる通信-Image581.jpg


『みなさん、どうか、いのちを燃やして生きてください。
くすぶらせてしまっては、もったいないじゃないですか…。』

その人が力を込めて発したメッセージに
胸がぎゅうっと締め付けられる。
くすぶりっぱなしのショボくれた自分が恥ずかしい。。

広島で被爆体験をした山下久代さんのお話しを聞きに
浅草にある『Gallery ef 』へ。

原爆がもたらした想像を絶する地獄の風景。
そばにいた人たちのほとんどが一瞬にして命を奪われ
山下さんは生き残ってしまったことへの申し訳なさを
ずっと心に抱き続け、戦後50年が経つまで
被爆体験を語ることができなかったそうです。

広島での凄惨な記憶から少しでも離れたいと
東京へ移り住み、就職し、やがて結婚。
被爆の経験から、こどもを持つことは諦め
画家だったご主人とつましく睦まじく暮らされていたようで
日常の何気ないエピソードにも胸が熱くなりました。

山下さんはワイン色のワンピースに帽子を被り
エレガントでチャーミングなおばあちゃま。
その考え方はとても明るくポジティブです。
良い事、美しい事を考えて、それを実行すること。
与えられた命に感謝して、精一杯生きてゆくこと。

そして、穏やかな語り口の中にも、心の底から
一日も早く、世界から戦争がなくなることを、
核の廃絶を訴えておられるのがわかりました。

戦争が終わってから生まれたわたしたちは
暴力的に命を奪われる危険もなく、自由と平和、
経済発展の恩恵を享受し、安穏と暮らしていられます。
でも・・・今の世の中ってなんかオカシイ。

山下さんも、これから日本はどうなるのかしら?と憂う声が
被爆者の会合でもよく聞かれるということや、
むかしの日本にあった助け合いの精神など
モノが豊かになるにつれて失われたものも多いのでは?
などとおっしゃっていました。。

体験談を聞いて、ぼんやりとしか把握できなかったあの戦争が
自分たちの生と確かにつながっていることを
ぬくもりをもって気づかされました。

そう遠くない日、この世界から
被爆者はひとりもいなくなります。
どうかその前に、被爆体験を語ってくださる人から
直接お話しを聞いてみて下さい。
あの夏に何があったのか、戦後をどう生きてきたのか、
後の世をに生きる我々に、何を望んでいるのか・・・。
その思いを全身で、受けとめてみてください。

私は山下さんから、あたたかくて前向きな力をもらいました。
しっかり頼んだわよ!と、背中をポンポン叩かれたような。。
お話しが聞けたことに、心から感謝しています。


※写真は『上村松園展』のチケット。
 松園さんの描く美人画は、一点のケガレもなく気品に満ち、
 見ているだけで魂が浄化されてゆくようで…。
 大好きな画家のひとりです。