以前の記事「【スコットランド野鳥観察記】5月13日〜旅の終わりに、静かな鳥たちの声を聴く〜」では、ニューラナーク周辺の自然の中を歩きながら、クライド川沿いに広がる景色や野鳥観察の様子をご紹介しました。
今回は、その際に立ち寄ったクライド滝自然保護区(Falls of Clyde Wildlife Reserve)のビジターセンター展示から、印象に残った内容をまとめてみたいと思います。
世界遺産ニューラナークというと産業革命の歴史に目が向きがちですが、実は豊かな自然環境にも恵まれています。展示を見ながら、川や森に生きる動植物たちの世界を知ることができました。
四季を通じて生きものたちが暮らすクライド川
展示でまず目を引いたのが、
"A River for All Seasons"(四季を通じて楽しめる川)
というコーナーでした。
春にはカワガラスやキセキレイ、アオサギたちが繁殖期を迎え、木々が芽吹き始めます。
夏になるとカワセミやツバメが活発に活動し、秋にはスカンジナビアからホオジロガモが飛来します。
そして冬にはアナグマやキツネの足跡を見つけることができるそうです。
同じ川でも季節ごとに主役が変わるというのが面白く感じられました。
春は自然観察に最適な季節
展示には「Nature Detectives Spring(春の自然探偵)」というコーナーもありました。
春になると見られるものとして、
- カモのヒナ
- ズアオアトリ
- マルハナバチ
- カエルとオタマジャクシ
- ヒメアカタテハ
などが紹介されていました。
さらに、
- ブルーベル
- サクラソウ
- ヒメリュウキンカ
- イチリンソウ
など春の花々も見頃を迎えるそうです。
森を歩きながら花や昆虫、野鳥を探すだけでも十分楽しめそうだと思いました。
カワガラスという川のスペシャリスト
展示の中で特に興味深かったのがカワガラスです。
丸みを帯びた愛らしい体型をしていますが、実は水中へ完全に潜って餌を探すことができる珍しい鳥だそうです。
展示によると、
- 鼻孔を閉じる特殊な膜
- 水中用のまぶた
まで備えているとのこと。
川底を歩きながら昆虫の幼虫などを捕まえる姿は、まさに川に特化した鳥だと感じました。
憧れのカワセミ
カワセミも紹介されていました。
鮮やかな青とオレンジ色の鳥として知られていますが、実はあの青色は色素ではなく羽毛の構造によって生まれる色だそうです。
シャボン玉の虹色と同じ仕組みだと知り驚きました。
また、この保護区では繁殖はしないものの、一年を通して狩りのために訪れるそうです。
実際に出会えたらとても幸運ですね。
川に暮らすカワウソたち
クライド川にはカワウソも生息しています。
展示によると、
- 体長は最大1m以上
- 防水性の高い毛皮
- 水かきのある足
を持ち、優れた泳ぎ手として知られています。
魚だけでなくカエルや甲殻類まで幅広く食べるそうです。
さらに「雪や泥の斜面を滑って遊ぶことがある」という説明には思わず微笑んでしまいました。
世界最速の動物 ハヤブサ
今回最も印象に残ったのはハヤブサの展示でした。
ハヤブサは地球上で最も速い動物として知られており、急降下時には時速320kmにも達するそうです。
展示では、
- 尖った翼
- 四角い尾羽
- 黒い口ひげ模様
など識別ポイントも紹介されていました。
さらに、
オスはメスより約3分の1小さいことや、人間の約8倍の視力を持つことなども説明されていました。
ハヤブサを守る人々
クライド滝自然保護区では、
Operation Peregrine
という保護活動が行われています。
卵やヒナの違法採取を防ぐため、ボランティアやレンジャーが24時間体制で繁殖地を見守っているそうです。
ヒナには足環やマイクロチップが装着され、成長や移動経路の調査も行われています。
野生の鳥たちを守るために、多くの人々が支えていることを知りました。
森を再生する取り組み
自然保護区では野生動物だけでなく森林の再生も進められています。
かつて植林された外来の針葉樹を少しずつ減らし、
- ナラ
- シラカバ
など本来この土地にあった森林へ戻そうとしているそうです。
また、保護区内にはブルーベルやレッドキャンピオンなど多くの野草が生育しており、春には森全体が花で彩られるとのことでした。
おわりに
ニューラナークを訪れるまでは、
「世界遺産の産業遺産の町」
という印象を持っていました。
しかし実際には、
- カワガラス
- カワセミ
- カワウソ
- ハヤブサ
など多くの生きものたちが暮らす自然の宝庫でもありました。
展示を見たことで、前日に歩いたクライド川沿いの景色がより意味のあるものに感じられます。
産業革命の歴史と豊かな自然保護の両方を学べることこそ、ニューラナークの魅力なのかもしれません。