風花 7 千秋先輩 | 緑の木陰で妄想日和

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相葉さんのお名前をお借りして
女の子といろいろ絡むお話。
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お話部分のみ、お引越し♪
この分野にご理解のない方はお控えください。

(7)千秋先輩

「絶対彼女いるよねー? 波奈、ちゃんと聞いといてよ」
ミキちゃんにそう言われたけど、うーん、聞いといてと言われてもな。
相葉さんはいっつも忙しそうだから。
隣の席だし仕事のことならなんでも聞けるしなんでも教えてくれるけど、そんなプライベートな会話はそうそうできない。
それに、このあいだ酔っての帰り道に爆弾ダメージを喰らってからは怖くてその辺りの話題はせっかく雑談ができても避けてしまう。

「彼女さんがいるかどうかはともかく、好きな人いるんじゃないのかな」
と言った。


時々、相葉さんのほうから、聞かれることはある。

どんな音楽が好きなの、とか好きな食べ物なに、とか、休みの日は何してるの、とか。新人をリラックスさせるためだろうけどいろんな質問をしてくれる。そして、それに私が答えると、私がどんな答えを言ってもいつも決まって、『そうなんだね』 と嬉しそうに優しく、にっこり笑ってくれるのだ。

それはなんだか、私に興味があるというよりは、何かを確かめるように聞いてるような気がするの。なにがどうとは言えないんだけど、なんとなく。

「ねえ、相葉さんと仕事のあとに飲みに行ったりとかしないの?」
「ないよ」


お酒は新歓以外では飲んだことがない。
でも、たまに、休憩時間にカップ入りのコーヒーを自販機で買ってきてくれたりする時がある。自分が飲みたかったからついでだよ、て言ってくれてさりげなく声かけてくれたり。気をつかわせないのも上手だ。

そんなことを話していたら、千秋先輩がスッと隣にやってきて机に手をついて小声で言った。

「水野さん。あなたの仕事って、大変じゃない? あの部屋、優秀なスキルがないとツラい職場だから能力ないと周りに迷惑かけちゃうものね。頑張って勉強してね」
「あ、ありがとうございます…」
「じゃ、頑張って」

軽く片手を上げて去っていく千秋先輩を見送りながら、ちょっとぼんやりした。
今の、励ましてくれたんだよね。

能力ないと周りに迷惑。
確かにそうだけど。
ちょっとへこんだ。

「なにあれ。暗に嫌味言ったんじゃない? 周りに迷惑とかわざわざ言いに来なくてもいいのに」
「…」
やっぱあれは嫌味だったのか。
励ましてくれてたようにも聞こえたけど。
励ましてくれたことにしよう。

「相葉さんと同期なんだよね、あの人」
ミキちゃんが含みを持たせた言い方で、千秋先輩の消えていった方を見ながら言った。
「そうらしいね」
「噂だと新人の頃に相葉さんにつき合ってくれってかなり迫ってあっさり断られたらしいよ」
そんなことまで知ってるのミキちゃん。相変わらずすごい情報網だ。
「へえ。そ、なんだ」
「まだ好きなのかな」
「さあ…」
「相葉さんが素敵な人なのはわかるけど、だからって仕事のパートナーにまで嫌味言いに来るとか、ちょっとどうかと思うな。波奈、気にしちゃだめよ」
「ありがと。でも実際、仕事頑張らなきゃいけないのはホントだから、そこは頑張るよ」
「前向きだね。波奈、いい子」
ミキちゃんはふざけて頭をぽんと撫でてくれた。

千秋先輩は相葉さんのこと、まだ好きなのかな。
それだからって今の私の立場について、どうのこうの思われても…それは仕方ないことだし、仕事はもちろん頑張るつもりだし。
ただ、これで私が相葉さんに迷惑をかけちゃったりしたら、ナニ言われるかわからないから、気をつけないと。
自分がもし反対の立場で、好きな人と仕事で組んでる人がポカして迷惑かけたりしてるの見たらやっぱり、しっかりしてよ、と思うだろうし。

相葉さんは優しい。
でも優しいからって職場の先輩に甘えてちゃいけないんだ。
そう思った。



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