日銀金融政策決定会合が通過した。植田総裁の記者会見後、もう少し大きな反応があるかと身構えていたが、結果としては「緩やかな円安」という、やや拍子抜けな推移に留まっている。
だが、公表された「展望レポート」の内容には看過できない一節があった。2027年度までの見通しにおいて、原油価格の上昇を背景に「2026年度の成長率が下振れ」し、一方で「同年度の消費者物価(除く生鮮食品)が大幅に上振れる」と明記されたのだ。これは、日本経済が「スタグフレーション」という深淵に足を踏み入れるリスクを、日銀自らが示唆したものと言えないだろうか。
高市政権下で利上げへの逆風は強いが、現在の政策金利は0.75%。依然として低水準であり、インフレを考慮した実質金利は深いマイナスのままだ。緩和政策の「ツケ」を支払うタイミングが遅れれば遅れるほど、その代償は大きくなる。0.25%の追加利上げに踏み切り、インフレ抑制への断固たる意志を示すべき局面ではなかった。
このまま対策が後手に回れば、巨額の財政赤字を抱える日本は、マクロ系ファンドにとって格好のターゲットとなる。当局は介入で応戦するだろうが、その効果が逓減するのは目に見えている。早ければ2、3回目の介入からは、むしろ「絶好の押し目買いの機会」とマーケットに嘲笑されるリスクすらある。
そして今夜、パウエル氏がFRB議長として臨む「最後のFOMC」が開催される。政策金利は据え置きが濃厚だが、焦点は同氏の退任後の去就だ。パウエル氏が議長退任後も「理事」としてFRBに留まり、インフレ再燃時の利上げの可能性を否定しない姿勢を示せば、ドル買いの勢いは強まるだろう。
現在、ドル円は159円台後半。パウエル氏がタカ派な「遺言」を残し、FRBの独立性を死守する決意を見せるならば、再び「160円台」の扉が開かれそうだ。
