世界遺産効果 | #029ブログ#

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観光振興と地域活性化-。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録決定に湧いた昨年6月21日、関係者の胸には、この2つへの大いなる期待が芽生えたはずだ。確かに構成資産への人出は昨年、軒並み増加した。しかし、観光客を呼び込む“世界遺産効果”は登録翌年前後をピークに減少していくとの声もあり、実際、今年5月のゴールデンウイーク(GW)の人出を見ると、早くも濃淡が出始めている。ブームを一過性で終わらせない工夫や、県内各地に観光客を波及させる仕組みが求められている。(大橋拓史)

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 県観光物産課が発表した今年のGW期間中の主な観光施設の入場者数は約117万人。対前年比で10・6%増加した。1日当たり過去最高の1万2千人超の来場者を記録した富岡製糸場(23・4%増)のほか、荒船風穴(26・1%増)は勢いを持続しているが、田島弥平旧宅と高山社跡は対前年比で減少、構成4資産の間でも勢いに差が出始めている。

 気になるデータはまだある。GW期間中、県内の主な温泉地宿泊客数は約30万人と全体では6・5%増えているが、1日平均でみたとき、富岡製糸場に近い磯部温泉で4・5%減少し、伊香保温泉では17・1%も減っていることだ。

 渋川伊香保温泉観光協会は世界遺産登録以後の波及効果について「ないことはないが、団体客がどっと来るという感じではない。個人客は来ていると思うが…」と期待値には届いていない様子だ。

 富岡製糸場によると、来場者のアンケートでは日帰り客と宿泊客がおよそ半々ぐらいという。構成資産を回っていると回答する人は少なく、大半は製糸場のみを目的に訪れている。では、富岡製糸場を訪れた観光客は、その後、どこに向かうのか。

 地元の富岡市が温泉地のような大きな宿泊施設を持たない中、観光地として有名な、お隣の長野県軽井沢町は世界遺産に登録された昨年度、訪れた観光客数は837万人を記録した。22~25年度までが760~795万人の間で推移したことを考えれば、大幅な増加といえる。

 軽井沢町観光経済課は、同町の大型アウトレットモールが26年7月に大規模増設したことも増加の要因とし、「すべてが世界遺産効果とするのは早計」と指摘。一方で「富岡市、安中市とは観光連携を強化しており、世界遺産効果があるのは事実」とも話す。

 県内では、古くから織物の町として栄えてきた桐生市が世界遺産登録前から富岡市との連携を強化、製糸場と桐生をつなぐ「はとバスツアー」を企画するなど一定の効果をあげている。絹関連遺産を持つ他の自治体の参考になりそうだ。

 もう一つの課題は、リピーターの確保だ。製糸場来場者のアンケートでは、圧倒的多数が「初めて」と回答しているといい、初来場者の波が一段落した後の落ち込みをどう和らげるか、対策が必要となる。

 多野藤岡、甘楽富岡地域の7市町村は、歴史学習のテーマにもなる富岡製糸場を核に、首都圏から修学旅行などを呼び込もうとする取り組みをスタートさせ、「西上州体験交流協議会」を発足させた。協議会の事務局がある上野村の産業情報センターは「修学旅行などで製糸場について学んだ児童が、親御さんと再び訪れることは十分に期待できる」とし、来年度にも取り組みを実現させる考えだ。

 世界遺産を目的に本県を訪れる観光客をいかに維持し、県内へ波及させていくか。一過性で終わらせない取り組みは少しずつ始まっている。ただ、ブームである以上、時間との競争の側面もある。手を打つのは早いに越したことはない。
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