あくざわ亭 | #029ブログ#
前橋市中心街の路地裏で半世紀にわたって営業していた名物焼きそば店「あくざわ」。長年通い詰めた常連で、元同市建設部長の高橋秀男さん(64)が今夏、店の味を再現した「あくざわ亭」(千代田町)を開業した。店内は当時を知るオールドファンでにぎわっている。 (斎藤有美)
かつて、同市オリオン通り商店街の路地にあった「あくざわ」は、テーブル一つに小さな椅子が4~5脚あるだけの、こじんまりした店だった。切り盛りしていたのは阿久沢登志江さん(故人)。
「すごいおばあさんだった」と、当時を知るなじみ客同士で盛り上がるほど個性的な店主だったという。注文時に「いつもの」と頼むと「そんな札が下がってるきゃ!」と叱られた。「あとどのくらいで出来ますか」と聞くと「そんなん分かんねえよ!」と一蹴された。
メニューは、歯ごたえのある太麺にキャベツだけが入った「やきそば」や、豚肉と卵も入った「肉玉」などとにかくシンプルだった。高橋さんが初めて食べたのは前橋高校に通っていたころ。以来、「他に食いたいものはなかった」と振り返るほど惚れ込み、平成10年に店が閉店するまで30年近く通い詰めた。
阿久沢さんは店の客とは注文以外一切口を聞かなかったという。店が閉められる直前、焼きそばを焼くと膝を痛そうにしてしゃがみ込む阿久沢さんの姿を見た。何を話しかけたのかは覚えてないというが、「53年もやっているんだよ」と口を聞いてくれた。それが最初で最後の会話だった。
その後、張り紙も貼られないまま突然閉店に。高橋さんは「食べたい一心だった」と、材料の仕入れ先などを調べて自宅で焼きそばを作り始めた。「あくざわ」の味を再現できるよう試行錯誤を繰り返し、店を知る市役所の同僚たちに振る舞った。いつしか、「焼きそば部長」のあだ名がついた。
市を退職後の今年7月、「あくざわ亭」を開店。メニューは「焼きそば」のみで並、大、特盛の3種類。シンプルな具材が、弾力のある麺とそれにからまった絶妙なソースの加減を引き立てている。
午前11時の開店と同時に客は続々とやってくる。伊勢崎市の自営業の男性(47)は「(あくざわには)高校生の時友人同士でよく通った。本当にあの昔の味。すごいと思った」と話す。高橋さん自身も、高校時代を思い出すという。「親と喧嘩した。授業をさぼった。お客さんはいろんな思い出を食べているんだよね」。店内は昔を懐かしむ人たちの笑顔であふれている。
営業は火~土曜の午前11時~午後2時。問い合わせは同店(電)027・235・1530。
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