1年前、3年間お世話になった、お茶の先生が逝去された。

住まれていたお宅が間もなく取り壊されるという。

後妻でご主人が亡くなられた後は一人住まいされていて

 幼馴染の友人が庭の草刈り、ちょっとした頼まれごとなど

苦もなくやっていて、入院されたあとは家の管理を頼まれていた。

 

 先生は茶道の前に30分かけて、美味しいお茶を頂きながら

当日使用するお道具のいわれなど、資料を作って説明された。

それは、何人かの先生に教わってきた中で驚きであった。

 

 「取り壊すばかりになっていて、義娘さんが欲しいものが

あればどうぞ、と言われているから、見に来んね」と実家に

行った際、友人が誘ってくれた。

 

 すでに、義娘さんとお茶の友人という人が持ち去った後でもあり、

破棄される物を見渡すばかりであったが、可愛いと思っていた

ガラス製のエンジェルが残されていたので頂いた。

 

 先生は世界のあちこち旅行されていたようで、極め付きは80才過ぎていた

お母様と南極ツアーにも行かれていたことも聞かされていた。

 ハワイに行かれた時の記念でイルカも残されていた。

 

 10年ぐらい前、同居人がホノルルマラソンに出たい、と言ったため

2泊3日の強行軍でハワイに行った際、イルカの置物を買っていた。

しかし、安価なものをゲットしていた。

 先生の置物を見たら、モノが違っていた。ブルーのイルカも頂いてきた。

 

 友人に「何かいいものもらったね?いろいろお世話したろ?」と

物欲者の私は尋ねた。

 彼女は「一つだけ欲しいものがあった。クリスマスの時に<聖>と書かれた

掛け軸が出されていたもので、それだけ欲しくて、娘さんにいったら、

ありません、持っていきました、と素っ気なく言われてしまった」と寂しげ。

 

 クリスチャンの彼女はイヴの夜、数人のクリスチャンの方と先生宅を訪れ

讃美歌を披露していた。歌の後は先生から、暖かくお抹茶の接待をうけていたが、

掛け軸はその時に掛けられていたという。

 (先生はクリスチャンではなかったそうだが)

 

 先生の逝去は突然であって、遺言書が無かったことで問題が派生したそうだ。

よくは聞いていないが、結果は養子縁組してなかったのに義娘さんに全て渡って

海外に住んでおられる妹さんには何も渡らなっかったそうだ。

 

 相続関係は難しいが故先生の話を聞いて、ナルホドと思うところがある。

数年前亡くなった親からの相続物が少しだけある。

<棚からぼたもち>的感覚でいたが、其のままでいるわけにはいくまい。

 

 同居人に相続はどうする?と何気ないように言っても、馬の耳に念仏だ。

 誰もが<一寸先は闇>を自覚しておくべきなので、知り合いの司法書士さんに

伺いに行った。

 結論は、<自筆遺言書を書いて、ある程度目につきやすい所に保管する>そうだ。

 

そんな遺言書を残さなければならないようなモノ持ちではないし、大切な物を

もっているわけではないものの、自分を見渡して自分整理ができそうな気がする。