ユビュ王の呟き

ユビュ王の呟き

右でも左でもない政治について語るブログです。
左右の典型的思考に嵌り自由を失うのではなく、自らの身体的感覚を重視しそこから考える。
反グローバリズム、反ワクチン関連の話題を中心にしていきます。

 

 

 

日銀がついに0.25%の利上げをしてしまいましたね。

しかも利上げは今回で終わらず、継続して検討するとのこと。

この記事にある通り0.5%が壁にはなるでしょうが、個人的な無責任な予想としては、きりのいい1%まではありうるのかなという気がしています。

 

 

植田日銀総裁の会見を全部見ていませんが、ニュースの中の断片的な内容からは、今回の利上げは行き過ぎた円安の是正と輸入物価の安定が目的としてあったようです。

しかし、為替操作の目的で金利をいじるのは正しいのでしょうか。

 

 

金利の上げ下げは本来景況判断によってなされるべきで、景気が良ければ上げるし、悪ければ下げるものですよね。

景気にブレーキをかけるのが利上げで、アクセルを踏むのが利下げですよね。

黒田前日銀総裁の時も、会見でマスコミに円安の是正のためになにもしないのかとしつこく問われていましたが、それは日銀の仕事ではないと頑とはねつけていました。

その姿勢はマスコミに批判されていましたが、金利は為替操作の目的で行うべきものではないので、あくまでその態度は正しかった。

 

 

今はインフレですが、インフレにはデマンドプルインフレとコストプッシュインフレがあり、デマンドプルは需要増⁼景気が良いことによって生まれる価格上昇⁼良いインフレに対し、コストプッシュはコストの上昇(輸入物価の上昇含む)によって起こる、需要増なきインフレ⁼悪いインフレなんですよね。

今はコストプッシュインフレ⁼悪いインフレで、その証拠に実質賃金は2年連続でマイナスです。

ようはインフレと言っても景気がいいわけではなく、依然として悪い状態が続いているというのが判断として正しい。

つまり、この状況下で利上げ⁼ブレーキを踏むのは正しいのか?ということです。

 

 

内閣府の資料の長期的な国際比較を見ても、いかに日本が先進国間でも後れを取り、置いていかれているかが分かるかと思います。

 

 

 

 

もちろん金利を上げれば円高への誘導になりやすいことは事実ですが、それはあくまで副次的な効果であって、意図してやるものではないはずです。

そもそも為替は相対的で流動的なものです。

ところが本来は景気にブレーキをかけたい時に行われる金利上昇を、その副次的効果である円高誘導のために行うとすればどうなりますか。

確かに日銀の意図通りに現在為替レートは確かに大幅に円高に動いていますが、それと同時に景気を冷やす効果を生んでしまいますよ。

というかそちらのほうが金利政策の本来の目的だからです。

 

 

その手段が本来目的とすることとは違う目的のために行うということは、そもそもその違う目的にはより正しく対応する手段があるのではないかという認識をすっ飛ばし、認識のほうを捻じ曲げるという欺瞞的な行動ではないでしょうか。

それでもいいからやってしまえと取った行動によって起きる副作用や弊害は、いわばその自己欺瞞に対する現実からの復讐というべきものでしょう。

まあ、このくらいの上昇なら大した影響はないでしょう、なんて会見で植田総裁は言ったらしいですが、それでも上げるよりは上げないほうが景気にとっては良かったはずなんですよね。

 

 

 

これまで金利を上げられなかったのは需要が低迷し景気が悪かったからなので、景気が良くなっていれば当然金利は上がったでしょうよ。

そして需要を喚起するために財政出動し景気を下支えする役目は日銀の仕事ではなく、政府や財務省の仕事なのですね。

ところが日本では長期において大規模な財政出動をしたことがなく、したとしても最低限度、その代わりに進められてきたのはコストカットと緊縮財政、そして増税路線で、これらは実質賃金を低下させ需要をしぼませる役目を果たしてきました。

日本の長期低迷はこうした政策によるものと考えるのは決して不自然ではないはずです。

 

 

 

黒田前日銀総裁の頃から、急激な円安の原因は日銀の政策が原因だと叩く風潮がマスコミや新聞にありましたが、まったくお門違いな批判なのにいつしか円安の悪玉⁼日銀みたいな空気が作られ、結果として昨日の利上げとなりました。

植田総裁は前任者の否定のために用意された人のようですから、これは既定路線だったのでしょうね。

結局本当の原因を作った者は批判されず、誤解(または悪しき意図)によって別の者が原因に仕立て上げられ、叩かれ間違った政策に変えられてゆく。

「日本人は自らを騙すことにおいて本当に驚くべき能力を持っている」とは丸山眞男の本の中にあった言葉ですが、今回の利上げはまさにその実例を見るような気がします。