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ユビュ王の呟き

右でも左でもない政治について語るブログです。
左右の典型的思考に嵌り自由を失うのではなく、自らの身体的感覚を重視しそこから考える。
反グローバリズム、反ワクチン関連の話題を中心にしていきます。

 

 

 

米大統領選を受けてのチャンネル桜の番組を見たのだけど、主なテーマは「対米自立」でしたね。
 
 
トランプはアメリカファーストかつ孤立主義で、基本的に他国に関心を持っておらず、日本も例外ではない。
なので、在日米軍についても、なぜ米軍が日本を守らなければならないのか?迷惑だ!くらいにしか思っておらず、守ってやるからには駐留費をもっと出せよ!と要求してくる。それは前回の在任期間と変わらないでしょう。
 
 
それに対して日本の対応はどうだったかと言うと、安倍晋三はトランプ当選後直ちにアメリカに飛んでトランプと接触し良好な関係構築に成功したわけですよね。
あの時の日本の本音は「米軍に撤退してほしくない」だったわけで、これは今も大部分の日本人は変わらないかもしれないけれども、この姿勢では対米自立など到底無理で、しかもそれを日本人自身が選択しているということになる。
 
 
それに対して石破首相はどうでしょうね。
どう見てもトランプと相性が良さそうに見えないし、そのことを問題にする人は多いけれども、対米自立という点から見れば、むしろ相性が良くないことがプラスに働くかもしれません。
就任時会見で日米地位協定の見直しに言及するあたり、石破首相の日米関係観は過去の多くの首相のそれとは違う気がしますし、この点もアメリカと距離を取る点においてはプラスに働く可能性がある。
 
 
トランプが要求してきたら、そんな金払う気もありませんから結構です、これまでお世話になりましたと決裂してくれないかな。
これは僕の願望ですが、もっともいつまで石破政権が続くか分かりませんし、そんなことを言えるほど政権基盤が強固でも、また石破自身に根性があると思えない。
かりに石破がそんなことをしたらマスコミも世論も一斉に叩くでしょうしね。
その叩く中には対米自立志向の保守派さえいても何ら不思議ではないと思います。
 
 
僕は在日米軍については「とっとと失せろ!」としか思ってないのですが、仮に明日突然いなくなったとしても、いなくなるならそれでいいと思っています。
 
 
だいたい、日米関係のように上下のはっきりした関係で、米軍が日本の都合に配慮して徐々に、ゆっくりと撤退してくれるなんて都合のいいように進むわけがないと思います。
米軍が日本に居座ったのが米国の都合ならば、撤退するのもあくまで米国の都合でしかありません。
それはトランプの態度が何よりも示していることです。
 
 

 
 
で、用田氏という陸自の元陸将のこの意見ですが、何言ってやがんだって話なんですね。
対米自立、自主防衛。
核を持つ点を除いてここに異存はありませんが、その上で「新たな日米同盟を構築」って。
これはあまりに米国の都合を無視した意見だと思うんですね。
 
 
今アメリカが持っている絶大な対日利権を手放した上で、日本と新たな同盟を結ぶことで、アメリカが何か得をするのでしょうか。
「それなら今のままでいいじゃないか」ということになると思うのですが。
そもそもアメリカが撤退するのは他国の争いに巻き込まれたくないという孤立主義からで、同盟となれば当然日本が侵略された場合は共闘する義務を負うことになるでしょうし。
それって矛盾しますよね。
日本も日本でアメリカが攻撃された場合は参戦しなければならないので、それはそれで危険でしょう。
こんなご都合主義の対米自立論を披露してしまうのは、根底的にアメリカに頼りたい気持ちがあるからだと思います。
 
 
アメリカに頼りたい、守ってもらいたいという心境から抜け出すことができないのは、中国を敵視し侵略の脅威を強く意識しているからですよね。
今やマスコミが中国の脅威を盛んに煽り立てていますが、中国が敵であり脅威であれば日本人はアメリカに頼らざるを得ず、その下にいることを肯定しさえする。
アメリカに頼らざるを得ない方向に世論を誘導するためにマスコミがそれをやっているとすれば、体制維持のプロパガンダ機関としてのマスコミの役割と整合性があるわけで、この点を考える必要があるのではないでしょうか。
 
 
だいたい、他のことについてはマスコミに文句を言うのに、中国関係については言わない、疑わないのは不徹底というもので、いわゆる保守派の大部分がこの通弊に陥っています。
その根底にはやはり中国⁼蛮族に対峙する文明の民という、歴史を通じて培われた日本人のアイデンティティに関わる世界観があるからだと僕は思っているのですが、それは置いておくとして、ものを考えるうえで大事なのは、その基盤となる部分を疑うことです。
いくら思考を積み上げたところで、その前提が間違っていたらすべて無駄なんですね。
ようは「汝自身を知れ」ということなんですが、これは言うは易し行うは難しで、偏見なく物事を見るのは思う以上に難しいことです。
 
 
僕は別に親中派ではないですが、対米自立は大きな体制転換、価値観の転換となるはずで、明治維新や敗戦時に匹敵するような180度の転換が必要だと思います。
外交関係も同様で、これまでと違う関係の構築が必要ですよね。
そういう時に勝共連合やCIAが作った冷戦構造を引きずったような反共イデオロギーや、その後釜のような反露反中感情は体制維持に利するだけで、改めてロシアや中国がどういう国なのか見直す必要があると思います。
だいたい、対象について良く知りもしないのに語ったってしょうがないではないですか。
しかし敵視する感情はこういった当たり前の理屈もかすんで見えなくさせますよね。
 
 
果たしてマスコミや欧米が宣伝するようにロシアは、中国は好戦的で野蛮で、我々の敵なのかよく観察すべきなので、対話もしっかり行うべきなのですが、対話しようという動きさえ今の日本では反日売国奴というレッテルを貼られかねない異常な状況です。
そしてその異常さを認識できないというところまでこじれてしまっている。
だから日本はアメリカから離れられないんですね。
 
 
しかし今の体制下にあって、こうした価値観の転換ができる人はおそらく少数にとどまるでしょう。
日本は外圧でしか変われないとするならば、対米自立もアメリカが孤立主義にさらに傾斜し「捨てられた」結果起こる可能性が高く、その場合狼狽した挙句おずおずと中露と対話し関係を構築するということになると思います。
それはそれで同じような結果に落ち着くわけですが、やはり日本は主体的に変わることが難しいのかなという気がしてなりません。