先日、関与先の企業様に訪問した際、経理担当者の方から「ある得意先から売掛金の支払いを約束手形から『でんさい』に変更したい旨の連絡を受けた」と、お聞きしました。

 

 電子記録債権の制度自体は、2008年に電子記録債権法が施行されています。既に10年以上前にスタートしていたもので、ようやく日本社会でも、最近のDX化の流れに繋がってきた、地方の中小企業にも関わりのある制度となってきているようだ、という感想を持ちました。

 

 後日、改めて「でんさい」や約束手形について調べていましたら、本年(2022年)2月に経産省が「約束手形の2026年までの利用廃止への道筋」として、各団体に利用の廃止に向けたロードマップの検討を依頼し、金融業界に2026年に手形交換所における約束手形の取扱を廃止することの可否について検討を開始するよう要請をしたことが、ホームページに掲載されておりました。下請法との関連で、中小企業庁のホームページにも掲載されています。

 

 紙の約束手形から電子記録債権に変更するメリットについては、印紙代や郵送費等のコストの削減や事務負担の軽減等が言われております。又、受取った電債を分割して支払先に譲渡できる事がメリットの一つですが、これには支払先関係者との事前の検討・準備が必要になります。

 

 こうした電子化によるメリットや、社会の電子化の大きな流れのなかで、長らく続いてきた商取引の慣習や経理を取り巻く環境等も着実に変化していく、その変化の中にいるのだなと、改めて感じた次第です。

 

 尚、電子記録債権の会計処理については「電子記録債権に係る会計処理及び表示についての実務上の取扱い」により、手形債権に準じて取り扱うことが適当で、「電子記録債権」等の科目をもって表示しますが、重要性が乏しい場合には、手形債権に含めて表示することができるとされています。